18部分:第十八章
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第十八章
「ローマのコロシアムじゃな」
「そうですよ。まさかここで闘うつもりですか?」
「コロシアムは闘う場所ではないのか?」
これこそが博士の返答であった。
「じゃからここを選んだのじゃが」
「じゃあやっぱり」
「左様。太閤よ」
「うむ」
「いよいよ今からはじめようぞ」
ヒデヨシと同じ高さになりそのうえで告げた言葉だった。
「それでよいな」
「そうじゃな。それではじゃ」
やはりヒデヨシも受ける。
「今度こそ貴様を止めるぞ」
「何かまたとんでもないことになるんだな」
小田切君は二人がいよいよ闘いをはじめようとしているのを見て少しばかりぼやいた。
「やれやれだよなあ」
「何だ今度出て来た男は」
「また随分と奇妙な服を着ているな」
「全くだ」
ローマ市民達はまた怪訝な顔になってあれこれと話をしていた。話の対象はやはりヒデヨシに関してであった。もう一方の相手にだ。
「結構小さいのはいいとして」
「あの顔は何だ?」
「そうだな、あの顔だ」
ヒデヨシのその顔を見て話すのだった。
「猿?いや、鼠だな」
「そうだ、鼠だ」
それに似ているというのだ。実際にヒデヨシは主君である織田信長から禿鼠と仇名されていた。李氏朝鮮の使者も彼の目が鼠に似ていると記録に残している。
「鼠そっくりだな」
「おかしな男だな」
「何たわけこと言っとりゃーーーーーす!」
ヒデヨシは彼等の言葉を聞いてすぐに激怒した。
「わしが鼠だぎゃ!?誰が鼠だぎゃ!!」
「あれっ、怒ったぞ?」
「一応人間らしいな」
「パルティアの方から来たのか?顔が黄色いな」
「そうだよな」6
次に彼の顔の色を見て言うローマの市民達だった。
「とりあえずローマの人じゃないみたいだが」
「あんた何者なんだ?そもそも」
「御主等は大秦の者達じゃな」
ヒデヨシはここでかなり古い言葉を出してきた。
「そうじゃな?大秦の者達じゃな」
「大秦って何処の国だ?」
「さあ」
しかし当の彼等はこう言われても首を捻るばかりであった。
「ここはローマ帝国だけれどな」
「違う国のことか?」
「ふむ、間違いない」
しかしヒデヨシは彼等の言葉を聞いて納得して頷くのだった。
「ここは大秦じゃな。あらためてわかった」
「何かわからないけれど納得してくれたみたいだな」
「ここがローマだってな」
「うむ、それならばよい」
とにかく一人で納得しているヒデヨシだった。これは彼の方からはわかるがローマ市民達の方からは何が何なのかさっぱりわからない話しであった。
「ではじゃ。博士よ」
「うむ」
「わしの今度の奥義はこれじゃ」
言いながら両手で印を作ってきた。それは。
「ほう不動印か」
「そうじゃ。不動明王の力を今見せてや
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