蛇姫たちの留学
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大きく一度うなずきながらギルドの出入り口にもう一度視線を向ける天竜。エクシードの村にはシャルルとセシリーのお母さんがいる。彼女としては、二人が親に会うということが楽しみで仕方ないといった感じなのだろうか。
「ラウルももしかしたら、お母さんに会えるかもしれないしね」
「!!」
無邪気に笑う彼女。だが、その発言を聞いた瞬間、思わず俺は顔をひきつらせてしまった。
「あらシリル。どうしたの?そんな顔して」
「何かあったの〜?」
どこかに行っていたと思われるシャルルとセシリーが、俺の顔を覗き込みながらそう言う。そうだった、この三人はあの時いなかったから、あのことを知らないんだった。
「一応・・・言っておいた方がいいのかな?」
「え?何が?」
正直悩む。楽しみにしているところ悪い気もするけど、村についてから真実を伝えられたらそれはそれでダメージが大きい。かといって、これはレオンの心に大きな傷跡を残していることでもあるから、彼の許可も取らずに他人に話していいものだろうか。
ガチャッ
腕を組んでうんうんと唸っていると、ギルドの扉が開かれる。それと同時に、知っている匂いが入ってきた。
「ここがギル―――」
「ヤッホー!!ウェンディ!!」
ギルドの説明をしようとしたマスターの言葉を遮り、こちらに手を振っている赤紫色の髪をビックテールにした女の子。話の腰を折られたマスターは、何もできずに固まっていた。
「シェリア!!」
そして名前を呼ばれた藍髪の少女は席を勢いよく立ち上がり、仲良しである天神の元へと飛んでいく。
「本当に来たんだ!!」
「うん!!ジュラさんとリオンが行ってこいって!!」
手を取り合ってキャッキャッとおしゃべりを始める天竜と天神。その少女たちを見て、マスターはどうすればいいのかわからず、固まっていた。
「シェリア・・・マスターの話聞かなくちゃ・・・」
「そこがシェリアらしいんだけど・・・」
完全にシカトされているマスターを不憫に思った留学生のうちの二人、シェリアと同い年くらいの女の子たちがそう言う。
「あ!!ごめんなさい!!」
それでようやく気付いたシェリアが簡単に謝罪する。すると、マスターはようやく口を開く。
「よいよい。友というのは良いものじゃからな」
そう言うと、何事もなかったかのようにその場から離れていくマスター。たぶん、説明するまでもないという理由もあるけど、それ以上に楽しそうな二人の邪魔をしないようにと気を遣ってくれたのかもしれない。やっぱり親心というものだろうか、優しさが心に染みます。
「こっちこっち!!来てきて!!」
「待ってよ〜!!」
シェリアの手を取り俺たちの方へと引っ張ってくるウェンディ。それを見てい
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