16部分:第十六章
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第十六章
「ローマの兵士達だね」
「ああ、あれがか」
「レギオンだったよね」
ライゾウとタロは彼等の言葉を聞いて小田切君の言葉に応えた。兵士達は既に博士の周りを取り囲みそのうえで攻撃態勢に入っていた。
「ローマの方陣だよな」
「それを使うのかな、やっぱり」
「いや、相手は一人だしそれはないと思うよ」
小田切君はコロシアムの中を見下ろしながら述べた。
「それはね」
「それはないのかよ」
「じゃああのまま取り囲んで?」
「そうだろうね。槍でね」
コロシアムの中では完全に取り囲むローマの兵士達と取り囲まれる博士がいた。両者の優勢劣勢は素人目では明らかであった。
「行けローマの誇り高き戦士達!」
「魔神を倒せ!」
「容赦するな!」
市民達はローマの兵士達に対して喚声を送る。
「頼んだぞ、それで!」
「行け!」
こう声をかける。そのうえで戦いを見守る。そして皇帝もまた。
「どうされますか?」
「これだ」
立てた右の親指を下に向けた。
「いいな、これだ」
「わかりました」
殺せということだった。この時代にこの動作が何を意味するのか確立された。コロシアムにおいて敗れた相手が生きるか死ぬかは皇帝のこの動作一つにかかっていたのだ。もっともそれは市民達の喚声により決まるもので実際の敗者の生殺与奪権は市民達が持っていた。
市民達のボルテージは皇帝のその動作を見て余計にあがる。
「そうだ、殺せ!」
「このまま殺せ!」
こう叫んでいく。そうして今まさにローマ兵達の槍が博士を貫こうとする。しかし博士はその無数の槍を受けても全く平気な顔をしていた。
「何じゃ、その攻撃は」
「槍を受けても死なない!?」
「馬鹿な、鉄の槍だぞ!」
誰もが鉄で貫かれない博士を見て驚愕していた。
「それで何故死なない!?」
「どうなっているのだ!?一体」
「例えオリハルコンであろうともわしを貫くことはできぬ」
博士は余裕に満ちた声で槍の一本を右手に握った。すると。
それだけで槍は溶けてしまった。赤く焼けてそのうえで消し炭になり消えてしまった。何と博士は触れただけで鉄の槍を焼き尽くしたのだ。
「そしてこうして消し炭にすることも可能なのじゃよ」
「槍を消し去ったというのか」
「やはりあの男魔神か!?」
「少なくとも人間ではないな」
「さて、歴史から見て相手に不足はない」
博士はその右手にあの電気鞭を出してきた。一兆ボルトの高圧電流を放つその鞭をだ。
「行くぞ。遠慮せずともな」
「何かまずい雰囲気だよな」
「そうだね」
タロはライゾウの怪訝な言葉に同じく怪訝な顔で答えた。
「このままいけば博士が大暴れして」
「下手したらコロシアム全壊だぜ」
「コロシアムどころじゃないね」
小田
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