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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第51話 血の約束
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ーイトっ!!」

 後ろから声が聞えた。声からすぐに誰かが判る。間違いなくモカだ。振り返るまでもないが、挨拶はしっかりと返さないといけないだろう。それがエチケット! と言う事で、カイトは直ぐに振り返る。

「ああ、おはよモカ。昨日はよく寝れたか?」
「うん! なんとかね! あの、カイト。いろいろとあったけど、ありがとう。……つくねも戻ってきてくれたし♪ ほんと良かったっ」

 満面の笑みとはこの事、そして 笑顔が眩しいとは、こう言う時に使うのだろう。カイトは、そんなモカを見てそう思いながら、一緒に登校していた。

「そういえばさ、その十字架(ロザリオ)が外れた時のモカと、今のモカは完全な別人格なのか?」
 
 かつての記憶が殆ど薄れてきているとは言え、流石にその部分は覚えている、知っている事だが、モカ本人の口から聞いてみたかった。何よりも《知っている》雰囲気を見せるのは不自然だろう。昨日今日で。

 モカは直ぐに答えてくれる。

「――うん。そうだよ。私が、覚醒して人格が入れ替わっても私自身には意識はあるんだ。ぼんやりと曖昧だけどね。昨日全部終わってわたし達を寮まで送ってくれたのカイトだよね! ほんと、どうもありがとー♪」

 そう言って、モカはカイトに抱きついた。
 両腕を首にまわし、ぎゅっ抱き寄せるモカ。……とっても柔らかな感触が胸に伝わる。

「……あのモカ? オレもさ。一応 健全な男子生徒だから。照れるよ」

 自分の心臓がバクバク動いているのがよく判った。平然と返すことが出来た理由が本当はよく判らない。

 これが仮に月音だったとしたら、動けない上に言葉も出ない。最後には鼻血を盛大に撒き散らせて、気を失う事間違いないだろう。と、カイトは考えていた。
 それが、気を紛らわせるのには丁度良かった様だ。

 モカは、抱きついている腕を離す。

「あははっ…… 嬉しかったから、ついつい抱きついちゃった! ……でも……、うーん………」

 何やらモカの様子がおかしい。喜んでいる、と言うよりは困惑している様だ。
 一度は離れたけれど、再びカイトの方へと身体を、顔を近づかせている。

「あのー……カイトは妖だよね? 間違いないよね? だって、あの時 精霊魔導師(エレメント・マスター)だって言ってたし………」

 じっと顔を見られていた。これでもか! って勢いで顔を近づかせてくる。
 先程は、抱きつかれた為、モカの顔を至近距離で見る事は無かったのだが……、今回は違う。

「ん、んんっ! そっ そーだよ? 間違いないって、だ、だから……(も、モカ 近い近いって!!)」

 ここまで接近されると顔が赤くなるのは止められない。まるでキスでも…… と言わんばかりの距離だから。……と言うよ
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