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[クー]な使い魔
0.5話

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「どうしてこんなことに…」

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはこの日何回目かも分からない溜め息を吐いた




神聖なる春の使い魔召喚の儀。


魔法学院の生徒はこの日使い魔を召喚して進級を果たす日
余程のことが無ければこの儀式はほぼ必ず成功する

召喚されるのは大抵は猫や梟といった動物で稀に飛竜といった大型のものも出現し、それらを召喚した者は称賛される


『メイジの実力を知るなら使い魔を見よ』

という言葉があるほどで
強力な使い魔を召喚すればそれが己の実力の証明になるからだ




召喚は結果だけ言えば成功した

頭の片隅では失敗して、またいつものように爆発で終わってしまうとも思っていた

呪文を唱え、杖を振るうと案の定爆発が起き目前に白い煙が巻き上がる

周りの失笑や煽りがあったかもしれないけど、それもすぐに止んだ


煙の中で、動く影を見付けたのだから



「それが…アンタってことだけど」

「クー」


私に向かい合うように座る少女は山のような食料を物凄い勢いで食べ尽くしていく

年は自分よりは下で亜人の子供。
腕が異様に長く、鉤爪のような手をしている
お世辞にも上等な服とは言えない毛皮と布を合わせたワンピースを見れば、貧しい生活を送っていたことが容易に想像できる

「メイジの実力を知るなら使い魔を見よ…」


目前の使い魔に目をやり
再び大きな溜め息を吐く


「ルイズ、おかわり」


「ないわよ!! あんたの食べた物、体のどこにいってるの!?」

「クー?」


惚けた顔と声で返事をするそんな私の使い魔

名前は…[クー]
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