第3章 リーザス陥落
第85話 決戦・ヘルマン第3軍
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広がる平野。見通しがよく、空も戦日とは思えぬ程に澄み広がっている。
だからこそ、よく判る。その澄んだ空気が、リーザスの美しく、広がった大地が雄大に語ってくれているのだ。
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ……………っっ!!!!』
命をも顧みない、男達の雄叫び。鬨の声。
「―――――フェリスッ!!!」
空に広がるそれはまるで怒声。
上空から警戒をしていたフェリスに向かって放たれた。
フェリス自身も、何が起きているのが判っているため、即座に反応する。
「降りろ! 撃たれるぞ!!」
「ッ……! ああ。判ってる!!」
フェリスは、翅を畳み、強引に落下した。着地の際に多少足に響いたが、低空であるため、まるで問題にはならない。
「これは……」
「予想以上だ」
リック、そして清十郎。
2人も、その雄叫びを訊き、認識を新たにする。体格ではない敵の巨大さ、強大さも。
視界に僅かにだが捉えたその姿は、まさに一本の黒槍。
ただの槍ではない。……腹にくくった一本の槍。決して折れぬ槍。時として、それはどの様な兵器よりも強力で、強大となる。
「おい! 部隊、展開しろ! 急げ!」
解放軍たちの其々の部隊のリーダー達は、すぐさま指揮をとる。
想定の範囲内は遥かに超えている。僅か100程の軍勢とこちら側、リーザス部隊。
数の暴力とはよく言ったものだから、多少なりとも、リーザス側には慢心はあっただろう。
だが、それは一部の兵士たちだけであり、彼らを束ねている者達にはそう言ったものは持ち合わせてはいなかった。
『オレ達も、何倍、何十倍もの相手を踏み越えてきた。……それが、相手側にも起こりえない、とは言えないぞ』
……ユーリの言葉を訊いたから。
それを訊いて、そう少しでも、思ってしまっていた自分達を殴りたくなった程だ。
「こりゃ、乱戦ね。被害少なくするには、前に出すぎない方が良いって事かねー?」
「………ですが、回復しなければなりませんよ。みなさんを」
「そうです! わ、私たちには、神が、ALICE様がついてます。大丈夫です」
前衛ではない。後衛である筈なのに、突き抜ける様な威圧。圧倒され兼ねる敵の特攻。 それに、思わず言葉を漏らすロゼ。そして 平常心であるとはいえ、いつもよりも大分反応の遅いクルックー。神を、仲間を信じ、胸の十字架を握り締めているセル。
誰ひとりとして、彼女達を気遣える者などいなかった。全員が、極限まで集中していたからだ。
「……リーザスの為、リア様の為……ッ!」
「負けられない。絶対、負け
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