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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
43.証拠不十分
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いる可能性がある。魂の気配を感じ取れるアルガードの魂が逝ってしまった以上、別の方法で追跡するのは困難を極めるだろう。

「………何か犯人に繋がる目撃証言とかありゃいいんだけどな」
「犯人は周到だ。目撃者がいたらとっくに殺してる。もちろん殺した証拠も完全に抹消してな」

 今回の騒動は終わりを告げたが、オーネストの表情はどこか険しい。
 かくいう俺も、漠然とした(もや)が胸の中を渦巻いていた。

「どうも、これで終わりとは行かなそうだな。時代のうねりって奴か?」
「さざ波にしては大きそうだ。将来が不安か?」
「からかうなよ。俺達に未来(あす)はいらない……だろ?」
「そうだ、俺達に未来(あす)はいらない。その時目の前にある現実だけを、俺達は相手にしてればいい」

 なら安心だ、と俺は思った。
 俺とオーネストと、二人揃っていれば相手取れない敵などないのだから。




 数分後。

「そうだアズさん、聞いてください!!この前の事件で首からネックレスかけたものすごく不審な魔法使いを見たんですよ!!」

 ヘスヘスと2人で、危険人物に接触した馬鹿者を滅茶苦茶説教した。オーネストはふっと笑って「運のいい奴だ」と呟くだけで、あとは我関せずとソファでくつろいでいた。
 
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