暗黒領域の流儀
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「そのベルクーリとやらが誰なのかは知らないが……仕合おうというなら是非もない。だが、俺を糧としたいならそれ相応の実力を見せてみろ」
その言葉を最後に、ビスクルは自身の長刀を引き抜き、正眼に構えた。呼応して、俺も一本の剣を引き抜き、下段に構える。
その俺の構えを見て、ビスクルは訝しげに眉を動かす。
「……もう一本は使わないのか?その構え、本来はもう一本の剣も使うと思うのだが……」
不自然に空いた左側から推測したのか、目線がそちらを向いている。眉を潜めたのは手加減されていると思った故の不信感からか。
「……殺し合いならともかく、これは仕合いだ。確かに俺は二刀流だが……だからと言って一本で戦えないわけではない。むしろ、こちらの方がいい時もある」
最初から二刀流を使うよりも片手が空く分、さらにトリッキーな戦いができるのも事実。まあ、基本的に二刀流を使うのだが。
「なるほど……後悔はするんじゃないぞ」
そう言うとビスクルの表情から感情の色が抜け、能面のようなノッペリとした様子になると、そのままこちらに踏み込んでくる。
正眼から上段へ。構えを変化させながら間合いに入ると、先ずは小手調べと言わんばかりの肩口を狙った斬り込み。それを半身になってかわしながら下段からの腕を狙った斬り上げを行う。しかし、それは予想していたようで即座に引き戻した剣で受け止められる。キィンという硬質なものと硬質なものがぶつかった音を聞きながら身体を回転させ、近くに居たビスクルに肘で打撃を加える。この攻撃は予測できなかったようで僅かに浮かべた驚きの表情と共にビスクルの身体が宙を飛ぶ。
加えた力以上に飛んだのはビスクルが上手く受け流した証拠である。距離を空けて、仕切なおすつもりだろう。追撃しようと思えばできたのだが、これが殺し合いならともかく、仕合いでは意味がないだろう。
「……さっき言った言葉を訂正しよう」
構えを崩さないまま、口を開く。
「さっき、ベルクーリのための糧と言ったな。……どうやら、相手の力を侮っていたのは俺の方の様だ。だからこそ、改めて言わせてもらおう。挑ませてもらう、と」
「なら、その姿勢に応じよう」
二本目の剣を引き抜いて、肩に。いつもの構えを取った。
「……参る!」
再び表情を消すと、こちらに走りこんでくる。先程と同じ軌道、同じ踏み込み。だが、先程とは違い、多少力が抜けている。こちらの対応によって柔軟に対策しようとする考えだと見る。
だから俺はあえてその誘いに乗ることにした。
受から能へ。受けるために少し斜に構えていた剣を手前に引き寄せると、こちらから踏み込んで間合いを詰めた。
「なっ……っ!?」
特殊な歩法によって即座にトップスピードに移った俺の突きにビス
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