暗黒領域の流儀
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を殺めてしまっている。ここで引くようならば、組織の威厳が消えてしまうから。
いつでも剣が抜けるように構えながら、竜を見ていると、竜はこちらの手前、十メートルほど開いた場所に着陸した。どうやら奇襲をかけてくることはなく、先程とは違って対話もできそうだ。
降りてきたのは男性が二人に女性が一人。その内の一人の男性が前に出た。立派な体躯に浅黒い肌。切り揃えられたチョビヒゲが実直ながらどことなくユーモラスな雰囲気を放つ。
もう一人の男はその男性とは逆に軽薄そうな見た目である。一応鎧は着ているものの、騎士というよりはチンピラに見える……が立ち振る舞いに隙はない。
最後の一人である女性は長い髪を風に靡かせ、凜とした様子で立っている。いかにも真面目そうで、創作でいう女騎士とはこういう人物を指すのだろう。
「俺は暗黒騎士長、ビスクル・ウル・シャスターだ。とりあえず、此方に攻撃の意志はない。武器を納めてはもらえないか?」
そう言ってビスクルは腰に帯びている剣から手を離す。女性の方は少し躊躇ったものの、二人とも追随する。
それを見て俺達も剣を鞘に納めた。いざとなれば抜けるように手を添えてはいるのだが。ユウキも俺に同じ。レアだけは完全に武器から手を離してしまっている。
「ありがとう。……さて、二、三聞きたいことがあるのだが……構わないだろうか?」
わざわざ確認を取ることもないだろうに。軽く頷くことで肯定する。
「まずは、何故この場所にいる?肌が白い人族は門の向こう側にのみ存在しているものかと思っていたが……」
「気がついたらこちら側だったんでな。理由は聞かれてもわからない」
自分で言っておいてなんだが、説得力ゼロである。理由もなしに常識を改めろ、と言っているようなものだしな。これならばスパイですって言った方がまだ説得力がある。
「なるほど……。信じたい、とは思うのだが、俺にも立場があるのでな。簡単には信用することはできんのだよ」
まあ、当然といえば当然だな。ビスクルともう一人の男性は読み取れないが、女性の方は明らかに疑惑の目をこちらに向けている。
「ならどうする。剣で語れとでも言うつもりか?」
ダークテリトリーは世紀末だからな。なんでもこれでまかり通りそうな気がする。
「なっ……」
女性は驚きの声を上げるが、声をかけた男性は面白そうに顔を歪めた。
飄々とした男性はやはり表情が変わらない……が少し目が細くなった。一番の食わせ者はこいつだな。
何か文句を言おうとした女性を手で制し、ビスクルは一歩前に出る。
「確かにそれが手っ取り早い、な。ここはダークテリトリー。気は進まないが、力こそすべてだ。それに、来るべきベルクーリとの戦いのためのいい糧となりそうだ」
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