暁 〜小説投稿サイト〜
トンデケ
第八話 地下都市
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

渡されたネックストラップを首から下げる。
真ん中にカードがぶら下がっている。

「これは、ICカードです。個人識別とお財布にもなります。無くさないようにね。」

「これ… もし落としたり盗まれたりしたら、悪用されませんかねぇ。」

「顔認識や指紋認識でなりすましを防止するシステムがあるので大丈夫ですよ。」

「ああ、そうでてすか。それなら安心ですね。」

「じゃあ、行きますか。」

「あっ、ちょっと待ってください。戸締りしたら摩周を連れてきます。」

百香は窓からの景色を惜しむように眺めながらシャッターを下ろし、鍵をかけた。
家じゅうの戸締りを確認し、最後にベッドで寝ていた摩周を
キャリーバッグへ押し込んだ。中から摩周の不安そうな鳴き声がする。

「病院へ行くんじゃないのよ摩周。心配しないで。
 ちょっとの間だけ我慢してね。」

リビングに戻り照明を消すと、足元灯がぼんやり室内を照らす。
百香はキャリーバッグをスーツケースの取っ手にしっかり固定すると、足元へ引き寄せた。

「じゃあ、飛びますよ。私の肩に手を乗せて。」

それはほんの一瞬だった。
武井がおでこに手を当てると、背景がぱっと変わった。
二人は高層ビルが建ち並ぶ街のど真ん中に飛んでいた。

「はい、着きましたよ。ここがアイズが入ってるビルです。」

武井の言うビルは外観こそ古びているが、中は床も天井もキラキラと輝いていた。
まるでどこかの高級ホテルのようだ。
入ってすぐ目の前に改札機のようなゲートがある。
フラッパーゲートというそうだ。
大きな会社の自社ビルなどでも最近よく見かける。
リーダーにICカードをかざすとピッと反応してゲートが開いた。
その先にずらりと並ぶエレベーターの扉。

武井が中央の扉の前に立った。
脇についたリーダーに再びカードをかざすと
エレベーターの電源が入り扉が開いた。
武井のあとについて百香も乗り込む。
通常のボタンの一番下に赤いカバーが付いているのが見える。
武井がカードをかざすとカバーが自動で開き、謎の“S”ボタンが現れた。

「この“S”ボタンを押すと地下まで直通になります。」

「どうしてテレポートで直接地下へ飛ばなかったんですか?」

「ああ、そう思いますよね。
 決められたチェックポイントを通らないと、
 不法侵入扱いされちゃうんですよ。
 ですから面倒でも、ここからカードを使って
 入らないといけないんです。
 入り口のゲートを抜けると、
 そこから先は追跡システムによって
 我々の行動は常に監視下に置かれます。」

能力者の中には悪意を持った危険人物もいるだろう。
セキュリティーが厳しいのも致し方ないか。
エレベーターの中には、なん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ