機動戦艦ナデシコ
1300話
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ナデシコを半包囲していた木星蜥蜴の戦力は、完全に消え去っていた。今ここで見る事が出来るのは、チューリップ、大型戦艦、カトンボ、バッタといった木星蜥蜴の無人兵器の残骸のみ。
そして何より目に付くのは、やはりスプーンでくり抜いたような跡を示す火星の大地だろう。
フレイヤという、ニーズヘッグの装備している武器の中でも特に広範囲に攻撃可能な物を使った痕跡だ。
地上に落ちていた木星蜥蜴の無人兵器の破片も、その多くがフレイヤの跡地へと集まっている。……いや、フレイヤによる二次被害の空気の流入により強制的に集められたと表現した方が正しいか。
まぁ、悪い事ばかりじゃない。地上に散らばっていた木星蜥蜴の残骸のうち、小さな部品の類は全てそこに集まっているのだから、掃除をするのには便利だろう。
チューリップ、大型戦艦辺りは損傷の少ない奴を確保しておきたいところだけど、どうだろうな。
バッタとカトンボは結構出てくるから、ここで無理に入手しなくてもいいだろうが。
ともあれ、俺はニーズヘッグの中でT-LINKシステムによる周囲の探索を行い、この近辺に木星蜥蜴の姿が完全に消滅している事を確認すると、ナデシコへと通信を送る。
「ナデシコ、聞こえているな。見ての通り木星蜥蜴は全て滅ぼした。取りあえず……そうだな、これからの事を話したいから、そっちに戻ろうと思うが、構わないか?」
本来であれば、そう尋ねる必要はないだろう。俺の現在の所属はナデシコなのだから。
だが、俺の本性……というのはちょっと違うか。本来の力? ともかくニーズヘッグを見せてしまった以上、ナデシコ側で拒絶反応を起こした者がいたとしてもおかしくはない。
そう思ってたんだが……
『はい、お待ちしています』
まさか、艦長にこうもあっさり言われるとは思いもしなかった。
拒絶反応を起こすどころか、普通に迎え入れるとは……
『ちょっ、ユリカ! 幾ら何でもそんな簡単に……アクセルがその、何て言うか……とんでもない存在なのは間違いないんだよ!?』
ジュンの叫ぶ声が聞こえてくるが、こういうのが普通の反応だろう。
こうして考えると、艦長って器が大きいんだな。……いや、元々テンカワを抜きにすればその能力が高いというのは認めてたんだから、驚きはないか。
『ちょっと、アクセルに助けて貰ったのにそういう事を言うのってどうなのよ?』
『それはそうだけど……でも……』
『だよねー。いっきなりブリッジに変な黒いのがぶわぁって出たと思ったら、アクセルの姿が消えて、でもって見た事のない機体が出て来て、木星蜥蜴を倒したんだし……』
『おい、ヒカル! 少し言い方を考えろよ!』
『あらあらー。リョーコってばムキになっちゃって。やっぱり気になる相手の事をこんな風に言われる
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