Side Story
少女怪盗と仮面の神父 9
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、ぶんぶんと首を横に振るミートリッテ。
その反応を見た神父は、美しい顔をあからさまな喜びで満たした。
「頭の回転も速い! やはり貴女は逸材ですね、ミートリッテさん!」
「勘弁してください! 普通に考えなくたって、無謀だって解るでしょ!? 絶っ対、無理!」
「大丈夫! 私と私の仲間達が全力で共闘します!」
「そんな勧誘文句、聞いたことないーっ!」
「為せば成ります、何事も!」
「だったら関係者だけで完結してください!」
「ですから関係者に!」
「お断りします!」
「諦めません!」
「お願い挫けて!」
「お断りします!」
「私のセリフを盗るなあーっ!」
無茶苦茶だ。
この神父、遊び人以上の危険人物だった。
(最高責任者である教皇を含め、多くの信徒は女神に人生を丸投げしてる。もうどうにでもなれ軍団の中で、この人は教義の見解を違えていて、仲間もいるっちゃいるけど少数派。私を引き込んで、王都でも通用する司教候補の教育を施したいときたら、これ絶対、アリア信仰の内部抗争じゃないか!! このくそ忙しい時に、ややこしい事態へ巻き込むなーっ! 忙しくなくても迷惑だあーっ!)
初対面の時から妙に興味を持たれてる感じだったのは。
ただ単に、内部抗争で使えそうな人材を見つけたからか。
屋内の薄暗さをものともせず瞳をキラキラと輝かせているアーレストは、自分の野望を押し通す気満々だ。
女衆とは別の意味で、命の危険を漂わせている。
(酷い。昨日から私の周りが酷すぎる。いったい私にどうしろっていうの、この状況!)
「無ー理ーだーっ!」
どこかで見ている海賊達。
背後に迫るバーデル軍人。
両横で控えている村の人(女)達、ネアウィック村の自警団、バーデルの国境警備隊。
前からは、本気で命懸けなアリア信仰への勧誘。
……完璧な手詰まりだった。
「ミートリッテさんは未成年ですよね。保護者の方にもご挨拶しなければ」
「私の選択権はどこへ消えた!?」
「明日から楽しみですね」
「聴けぇえええー!」
初日の深夜を迎えて、残りは四日。
ミートリッテの悲痛な叫びを拾ってくれる、親切で心優しい救世主は……
いない。
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