Side Story
少女怪盗と仮面の神父 9
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認し、思考を停止させる。この意味が解りますか?」
「……骨抜き?」
「そう! 何をしてもしなくても、生きていても死んでしまっても、結果は「女神アリアのお導き」。個々の主張や思考を蔑ろにする心理状態。よく耳にする「狂信的な信者」の出来上がりですね。一度こうなってしまったら、現在の教皇猊下のようになかなか目を覚ましてくれません。仕方ないと言えば仕方ないのですが……それが正しい信仰の在り方だとはどうしても思えない。ミートリッテさん、私はね。女神アリアは基本、放任主義じゃないかなって推測しています」
「放任主義?」
「ええ。世界を見守り、救いを求める数多の声をお聴きになりながらも、過度の干渉はされない。どうしても見ていられなくなった時だけ……ほんの少しだけ、助けてくださっているのではないかと。あくまで私個人の考えですが」
目を細めて女神像を見上げるアーレスト。灯りに揺れる横顔がとても優しげで、ミートリッテの心に渦巻く毒気が急速に萎んでいく。
(出逢いを用意していたのではなく、偶然近くに居た二人を互いに気付かせた。それが、アーレスト神父が考える「祝福」。でも、多くの信徒は…… うん? ちょっと待て。この人……)
飛び出した不穏な単語の数々で、冷たい感触が背中に一筋、つーっと伝い落ちる。
「……先程の素質がどうとかって……もしかして、女神信仰に対する姿勢の話ですか?」
「はい」
(あっさり爽やか、にこやかに肯定しやがったーッ!)
「いやいやいや、無理ですできません絶対無理! 一般民に何を期待してんですか! 発想がおかしいでしょう!」
両手を前面に突き出し、ぶんぶんと首を振るミートリッテを正面に見た神父は、美しい顔をあからさまな喜びで満たした。
「頭の回転も早い! やはり貴女は逸材ですね、ミートリッテさん!」
「勘弁してください! 普通に考えなくても無謀だって解るでしょ!? 絶対無理!」
「大丈夫! 私と、私の仲間達が、全力で共闘します!」
「そんな勧誘言葉聴いたこと無いーっ!」
「為せば成ります何事も!」
「だったら関係者だけで完結してください!」
「ですから関係者に!」
「お断りします!」
「諦めません!」
「お願い挫けて!」
「お断りします!」
「私の台詞を盗るなーッ!」
無茶苦茶だ。
この神父、遊び人以上の危険人物だった。
(教皇含め、多くの信徒は女神に人生丸投げしてる。そんな中でこの人は教典の見解を違えていて、どうやら仲間も居るけど少数派。私を引き込んで、王都でも通用する司教候補の教育を施したいと来たらもうこれ……絶対、アリア信仰の内部抗争じゃないか!! このくそ忙しい時にややこしい事態へ巻き込むなー! 忙しくなくても迷惑だあーッ!)
妙に興味
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