Side Story
少女怪盗と仮面の神父 9
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り考えている。そんな礼に欠けた私が、信徒になっても良いのですか?」
臨機応変。
バレてるならバレてるで、手段を変えるだけの話だ。
「良いんじゃないでしょうか? 初めから特定の信仰心を持って産まれる者なんていません。私もそうでしたし、私が知る王都の修行徒達も似たようなものですよ」
「そう……なんですか?」
(良いんじゃないでしょうかって。随分軽いわね。それで良いのか宗教団体)
「信仰心とは本来、予備知識と習慣に伴う実感を以て自然に積み重なる想い。解りやすく一言で纏めるなら「感謝」なのです」
「……感謝?」
「ええ。誰にでも……貴女にもある筈です。自分一人では決して叶えられなかった夢。無理だと思っていた事が不思議に達成できてしまった瞬間。どれだけ足掻きもがいても抜け出せなかった苦境から救ってくれた、奇蹟のような出逢い」
ミートリッテの肩が微かに揺れる。
「万に一つの偶然。いつもならば思い付きもしない何か。私達は、日常にふと訪れるそうした差異を「神の祝福」と考え、感謝しているのです。総ての宗教関係者が同じとは言えませんが……少なくとも私自身は、アリア信仰が唱える教えの根幹を「生かされている事実への感謝」であると信じています」
「感謝……ですか……」
なるほど、そう言われれば確かに解りやすい。
生まれつき持っている物ではないが、きっと誰もが知っている、誰にでもある身近な気持ち。
ミートリッテの行動原理だ。
だが。
それは温もりをくれたハウィスや村人達に向けられた想いであって、女神アリアへの感謝なんかは欠片も持ち合わせてない。神は居ると言われているだけで、実際に何かしてくれた訳じゃないから。
宗教なんて、人間の弱さが作り上げた、ただの精神的象徴。願おうが祈ろうが道の一本も示してくれない、お飾りだ。
……いや。
もしもアーレストが言う通り、ハウィスとの出逢いを女神の祝福とするなら、二人が海岸で会うまでの経験や感情や人格まで、何もかもが「女神の仕込み」になってしまう。
ミートリッテは両親との酷い死別と後悔が無ければ国境を越えるほど遠くには来なかっただろうし、ハウィスに会わなければ怪盗になる理由は無く、当然、海賊の『依頼』も受けてなかった。
あの日あの場所に当時の二人が揃ったからこそ、祝福は成り立ったのだ。
ならば、女神がミートリッテに両親の手を避けさせたのか? ハウィスを悲しませる何かを仕掛けて、同じ海岸へ行くように仕向けたと?
だとしたら、飾り物よりもっとずっと悪質だ。世界そのものが女神の遊び道具扱いになってしまう。
そんな莫迦な話があってたまるか。
(私が二人の手を取らなかったのは、自分の弱さと醜さの所為だ。何かに傷付いてたハウィスとの出逢いを女神の祝福だと喜び、後悔ま
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