4部分:第四章
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第四章
「あそこは同人誌専門のお店だから」
「ああ、そうだったね」
苦しくとも芝居を彼女に合わせるのであった。
「そういえばそうした本もあったよね」
「小山田君は同性愛興味ないの?」
「ううん、まあそういうのはね」
ここでは本音を述べた。流石にこうしたことで嘘をつけなかった。ついたらついたで後で大変なことになるということを直感で悟っていたからだ。
「悪いけれど」
「それでも色々とあるしね」
同人誌の世界も奥が深い。所謂オタクの世界は。
「そういうのもあるしね」
「うん」
(そうだったのか)
信繁はそれを聞いて心の中で思った。
(何かえらいことになりそうだな)
「はい、着いたわよ」
話をしているうちに着いたようであった。
「ここのお店よね」
「う、うん」
何とか芝居を合わせた。苦しいものだが。
「じゃあ入りましょう」
「さて、何を買おうかな」
苦しい芝居を続けながら店の中を見回る。彼にとってはまさに異次元空間であり気が遠くなりそうにもなったが何とか耐えた。それがはじまりであった。
それからほぼ毎日。彼は良美と色々なそういう手の店を回った。常に芝居で合わせているがそれはかなり苦しかった。彼の心理的にもそうであるし芝居自体もかなり酷いものであったがそれでも何とかやっていたのであった。
しかしその疲労は傍目からすぐにわかるものであった。仲間達はそんな彼に対して教室で話していた。同じ教室の端では良美がまたヤオイの話をしていて女の子達から呆れられている。
「御前も頑張るな」
「少なくとも必死だぜ」
信繁は少し憔悴が見られる顔でクラスメイト達に答えた。
「何とかな」
「何とかねえ」
「ついていくだけれでもな」
「そこまでして付き合うのかよ」
「ああ、そうさ」
今度ははっきりと答えた。
「何だかんだで可愛いし性格だっていいしな」
「まあそうだな」
それは皆が認めることであった。少なくとも良美の性格はいい。しかもかなり。
「それはな」
「だからだよ。趣味にも何とか付き合って」
「それもいいけれどよ」
ここでクラスメイトの一人が彼に言ってきた。
「どうしたんだ?」
「ちょっと強引にいってみてもどうだ?」
「強引にかよ」
「ああ、そうだよ」
そう彼に提案するのであった。
「どうだよ。いつもあの娘に付き合ってるんだろ?」
「ああ」
その通りだ。それで振り回されているからこそ今も憔悴しているのだ。それを言われて信繁も考える顔になるのであった。
「それでどうだ?」
「そうだな」
ここでさらに考えを深くさせた。
「悪くないよな」
「だろ?時には押すことも肝心だぜ」
「だよな」
あらためてそのクラスメイトの言葉に頷く。
「じゃあ。何かして
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