2部分:第二章
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「それさえなければな」
「んっ!?小山田」
クラスメイト達はその彼に顔を向けて名前を呼んだ。
「まさか御前」
「ひょっとして」
「前から考えていたんだよ」
赤がかった髪を横に撫でつけてピアスをしている。格好だけ見ればどうにもだらしない格好に見える。だが顔つきは案外真面目そうなのが不思議な感じであった。
「声をかけようってな」
「いいのかよ、彼女で」
「あれだぜ?オタクだぜ」
「しかもヤオイで」
「だからそれだけだろ」
それでも彼はこう仲間達に言葉を返すのであった。
「それさえなければ。完璧だよな」
「まあな」
「あんな可愛い娘ってそうそういないよな」
「趣味を抜けば」
ここが重要であった。
「クラスどころか学校でも」
「最高ランクだよな」
「だからだよ」
彼はニヤリと笑った。だから狙っているのだと言わんばかりである。
「俺はやるぜ。絶対にな」
「絶対にか」
「ああ。まあ見てなって」
そうして名乗りをあげるのであった。
「この小山田信繁、絶対に彼女をゲットしてやるからな」
「まあ頑張りな。けれど相手は手強いぜ」
「手強くて結構」
どうもその程度で怯む信繁ではないようである。それどころか闘志に満ちた顔になってきていた。ニヤリとした笑いはそのままに。
「それだからこそやりがいがあるってものさ」
「そうなのか」
「ああ。そういうことさ」
それを仲間達にも告げる。
「というわけで。今から良美ちゃんに特攻するぜ」
「上手くいくかね」
「さあ」
皆これにはかなり懐疑的な顔になっていた。首を傾げてさえいる。
「何しろ相手があの良美ちゃんだしな」
「難しいよな、やっぱり」
「だからそういうのが面白いんだよ」
しかし彼は変わらない。
「わかったな。それじゃあな」
「まあ頑張れ」
「それしか言えないけれどな」
それが彼への仲間達のエールであった。余り頼りになるとは思えない類のものであった。
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