一章
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一向にゼロの姿はなくて、ないまんま筆記試験が始まった。何かあったのか、もしかして捕まったのか、試験なんて忘れちゃったのかーーーーーとか考えてもしょうがないから、ぼくはいつも通り1人で試験会場に向かった。
いや、心配してない訳じゃないんだよ?でもゼロはぼくよりはるかに強いし、頭もいいし、どっちにしたって筆記試験はぼく1人でやるしかないんだし。何だかんだ、実技試験の明日には飄々として戻ってくるはず
「それぞれ受験番号の席についてくださーい。静かにーー!!」
人は思ったよりも多くて、体の小さなぼくは踏み潰されそうだった。もちろん、子供なんていない。大の大人ばっかり
指定の席につくのもやっとのことだった
「ふぅ……」
ほっと一息つく。試験開始まで30分くらい。最後の予習をしよう
「んー。あれ?子供がいる」
え。なんですか?
そこにいたのは、白いふわふわの髪に眠そうな顔をした…………ぼくがいうのもなんだけど子供がいた。まぁぼくより年上だけど
「……言えたことじゃないんじゃない?ぼく、これでも二十歳」
「見えない」
「そういう病気。きみは?」
「んー……おれもそういう病気」
なんだそれ!?
ボケッとした顔して……天然なんだな。天然なんでしょ!?
「ねぇねぇ、それなに?勉強?」
「うん。マニュアル」
「見せて」
「嫌だ」
「嫌だ」
「嫌だ…………ってえぇ?」
なんで繰り返された!?
「見たいー」
…………いいですよ、はい
ぼくは死ぬほど見ましたから
パラパラとページをめくる彼は、まったく読む気なんかなくて、なにが見たかったのか意味不明だった。ゼロとは真逆な顔つきをしてるけど、なに考えてるか分からないという意味では同じ気がする
「はい。むつかしくてわかんなかった」
いや、わかんないとダメでしょ!
試験直前ですよ???
「勉強、頑張ったんだ。おまえ」
「おまえって失礼な。シルクだよ、ぼくは」
あれ?名乗っていいのかな。ぼく……
「ふぅん。おれ、ルーク」
る……ルーク
ルークって…………
「えぇえぇええ!???」
ルーク・ラヴィーナ
ゼロを追う死神!それより、それよりも……
軍人!????
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