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破壊ノ魔王
一章
20

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一向にゼロの姿はなくて、ないまんま筆記試験が始まった。何かあったのか、もしかして捕まったのか、試験なんて忘れちゃったのかーーーーーとか考えてもしょうがないから、ぼくはいつも通り1人で試験会場に向かった。
いや、心配してない訳じゃないんだよ?でもゼロはぼくよりはるかに強いし、頭もいいし、どっちにしたって筆記試験はぼく1人でやるしかないんだし。何だかんだ、実技試験の明日には飄々として戻ってくるはず


「それぞれ受験番号の席についてくださーい。静かにーー!!」


人は思ったよりも多くて、体の小さなぼくは踏み潰されそうだった。もちろん、子供なんていない。大の大人ばっかり
指定の席につくのもやっとのことだった


「ふぅ……」


ほっと一息つく。試験開始まで30分くらい。最後の予習をしよう


「んー。あれ?子供がいる」


え。なんですか?

そこにいたのは、白いふわふわの髪に眠そうな顔をした…………ぼくがいうのもなんだけど子供がいた。まぁぼくより年上だけど


「……言えたことじゃないんじゃない?ぼく、これでも二十歳」

「見えない」

「そういう病気。きみは?」

「んー……おれもそういう病気」


なんだそれ!?
ボケッとした顔して……天然なんだな。天然なんでしょ!?


「ねぇねぇ、それなに?勉強?」

「うん。マニュアル」

「見せて」

「嫌だ」

「嫌だ」

「嫌だ…………ってえぇ?」


なんで繰り返された!?


「見たいー」


…………いいですよ、はい
ぼくは死ぬほど見ましたから

パラパラとページをめくる彼は、まったく読む気なんかなくて、なにが見たかったのか意味不明だった。ゼロとは真逆な顔つきをしてるけど、なに考えてるか分からないという意味では同じ気がする


「はい。むつかしくてわかんなかった」


いや、わかんないとダメでしょ!
試験直前ですよ???


「勉強、頑張ったんだ。おまえ」

「おまえって失礼な。シルクだよ、ぼくは」


あれ?名乗っていいのかな。ぼく……


「ふぅん。おれ、ルーク」


る……ルーク
ルークって…………


「えぇえぇええ!???」


ルーク・ラヴィーナ
ゼロを追う死神!それより、それよりも……


軍人!????




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