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大陸の妖精
てっぺんとるチャンスだろ!
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腕がナツの肩を掴み、またしてもナツを静止させた



「俺も譲れないね、今回だけは!!!」

真っすぐラクサスに視線を向け、強く言い放つアルト

その姿を見たナツはうっすらと笑って言う



「しょーがねー奴だなァ・・・じゃあ先に倒したモン勝ちだ、どっちが倒しても恨みっこなしだからな!!」

「あぁ、分かった」

ナツの提案を承諾したアルトは後方に立つエルザへと身体を向けて言う



「そういうわけだから、エルザの出番は無いよ」

そう言われたエルザの視線はアルトを捉えていた

するとエルザの口元が和らぎ、問いかけるように言った



「信じていいんだな?」

その問いかけに対し、アルトは笑って答えた



「まかせろ!」

アルトの返事を聞いた瞬間、エルザは大聖堂の外へと向かって走り出す

ラクサスは特に止める様子もなくエルザを見ていた



「オ・・オイ! どこ行くんだよ!!」

背を向けて走るエルザに向かって叫んだナツであったが、エルザの表情と走り去る方向を見て何をするつもりなのかを感じ取った



「まさか・・お前、神鳴殿を止めに・・・」

ナツが抑えた声でそう言うと、ラクサスが後方から笑い声を飛ばして言う



「ははははっ! 無駄だァ!! 一つ壊すだけでも生死にかかわる!! 今・・・この空には300個の魔水晶が浮いているんだぞ!!! 時間ももう無いっ!!!」

「全て同時に破壊する」

ラクサスの言葉を跳ね除けて、エルザが決意ある表情で言った

しかしラクサスはそんなエルザの言葉をも否定し、強い声で言った



「不可能だ!! できたとしても確実に死ぬ!!!!」

「だが街は助かる」

走りながら答えるエルザはまったく足を止める様子はない

エルザの決意は本物だと思ったラクサスは密かに頬に冷や汗を浮かべた



「ラクサスを止めておけアルト!! ナツ!!」

大聖堂の階段を下り、街の方へと走っていくエルザ

だんだん小さくなるエルザの背中から、アルトは叫んだ



「俺も信じてるからなァ、エルザ!!」

背後からかかるアルトの声に、エルザは黙って頷く



「可能か不可能かって事じゃねえぞ!!」

アルトは更に大きな声で叫ぶ



「お前が無事に帰ってくるって事をだ!!!!」

自分の身を案じてくれているアルトの叫びを聞き、若干頬を染めたエルザが心の中で思う



「(おまえに救われた命だ、粗末にする気はない・・・それに―――)」

その時、エルザは楽園の塔での出来事を思い出す

それは自分が塔の爆発に巻き込まれて、アルトが助け出してくれた時
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