暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第25話 「星光とのお出かけ」
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でないんだが」
「何を言っているんですか。私はただ無駄な体力を使わないようにしているだけです。私の内側は様々な感情で溢れていますよ」
「あぁ……確かに人のことをからかいたいって感情はあるみたいだな」

 俺の目に映っている八神堂の店主と同等にムカつくドヤ顔がその証拠だろう。
 出会った頃から何を考えているのか読みにくい奴だったが、正直今のこいつの方が分からない時がある。昔は今のように表情は変わらなくても疑問に思ったことはすぐに聞くという素直な一面もあったのだが。……今もそういう一面はあるように思えるが、少なくとも今は基本的に茶目っ気が混じっているのであの頃と同一の素直さではないだろう。

「時にショウ、ひとつ聞いておきたいのですが」
「何だよ?」
「あなたは私をどこに連れて行こうとしているのですか?」
「簡単に言えば喫茶店だな」

 喫茶店の名前は翠屋。高町の家族が営んでいることもあって昔から利用している店だ。
 今日シュテルをここに連れて行こうと思った理由は彼女がのんびりと読書をできる場所がないか、と以前聞いてきたことがあったからというのが最大の理由になる。まあ個人的にここのところ桃子さん達と顔を合わせていなかったことのも理由ではあるが。
 俺達の共通でハマっていることで考えれば、ホビーショップT&Hや八神堂でデュエルをするのが無難な手ではある。が、真っ先にその手を使うとシュテルの機嫌が悪くなりそうなんだよな。
 ――せっかくふたりで出かけているのにデュエルですか……いえ別に構いませんよ。私はデュエルが好きですし、まだ見ぬ強敵と戦える可能性を考えれば胸が躍りますから。私やあなたのことを考えれば当然の選択ですね……。
 みたいなことを顔を合わせようとはせず喜びが感じられない声で言いそうだし。拗ねてもあまり表に出さない。でもそれを分かって構ってほしい……ある意味レヴィやディアーチェより手間の掛かる奴だよな。本気で拗ねられるとそれぞれにそれぞれなりの面倒があるのが現実だが。

「……お前は何で固まってるんだ? 別におかしなことは言ってないはずだが」
「いえ……あなたが私とふたりだけの状況でそのような場に行くとは思っていませんでしたので」

 人のことを何だと思っているんだ、と思わなくもないがシュテルの気持ちも理解できる。
 ふたりだけの状況で喫茶店に行けば、シュテルはデートだのなんだの言ってからかってくる可能性があるわけだ。
 それは俺も理解しているし、シュテル自身も自分がどのような行動を取りそうか理解しているだけに今の反応をしているのだろう。理解しているならばやるなと言いたいところではあるが、こいつを含めた茶目っ気の強い人間には意味を成さないのも分かっている。俺が心の底からやめろ
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