第十五話「悪夢」
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だあれを欲するような心があるうちは消えはせぬのだ、長い時がいるだろう、だがな、娘、覚
めない夢もまたないのだ」
娘は自分の愚かさに涙をながしていました。一時的にも薬から解き放たれたのでしょう。その眼には
もはやあの病んだ心はみえません。タチカゼはこの可哀そうな娘を見て抱きしめ、そして最後に一言
「生きろ」といい、この町を去りました。
貴族たちは元奴隷たちのはからいで牢屋に入れられ、麻薬の毒が完全に体から消えるまでそれは恐ろし
い悪夢をみました。それはもう悲しい定めでしたがほかにどうしようもありません、町の治安のために
あの薬は根絶しなければならず、病んだ心が消えたとて長い間薬に侵された体は長いこと本人を苦しめ
ました。人を狂気に陥れました。タチカゼはそのことを知っていました。だから娘がどうしようもなく
哀れで仕方なかったのです。
タチカゼが去ったあと、この町は奴隷制を廃止し、だんだんと秩序を取り戻していったのでした。
タチカゼは思いました。人の世も魔物の世もおなじ地獄だ。ならば俺はその地獄で光を見つけねばならん。
タチカゼが口笛を吹くと天馬が降り立ちました。「なあ、天馬よ。俺は生きるぞ、生きて。王国へ行
き。この世を滅びから救おうぞ」
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