第十五話「悪夢」
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どうだ者どもよく見よあのおびえ切った兵士の目を、あいつらは自分に抵抗しないことをしっ
ていたから強がっておったのだ、だが私から言わせれば奴らこそ、内心、臆病な人間なのだ、どうだ、
いまだ自分たちはこんなものたちより弱いと思うか」
「いんや、正直、おらは負ける気がしねえ」
「おらもだ」
「あたいもだ」
「さあ、戦って自由を勝ち取れ!大丈夫だ、この俺がついている」
すると兵士は陣形を崩して逃げ出した。それを見ていた奴隷たちは勝ち誇ったように押し寄せる、数
でも腕力でも上の奴隷たちの戦いは圧勝に終わる。それを見ていた貴族たちは飛び上がるほどびっくり
していまだに目の前で起こったことが信じられません。
「やった、やったぞー!俺らでほんとに町の兵士に勝っちまった」
タチカゼは役人に見覚えがあった。
「おい、おまえ、国王様からの手紙を持っているな」
「へ?な、何故それを」
「それはな、わたしのものだ」
「な、なんの証拠が」
「その手紙のとおりにお前が王国へ行けば私が負うはずだった国難をお前が負わねばならなくなるぞ、
その覚悟はあるのか」
「そ、そうか、これは」
「そうよ、お前のようなものが持って居れば災いしかうまぬものよ」
「ひ、ひいい!」
役人は懐に入れていた国書をタチカゼに帰した。
「さて、おい、木っ端役人、おまえの城へ案内せえ」
「は、ははああ!」
「お、タチカゼ殿がまた何かなさるぞ、我らもつづけ」
奴隷たちはもはやタチカゼの私兵になって城に殴り込んだ。そこで見たものはこの国を腐らせる瘴気
をまき散らしていた魔物であった。そう、この町の主は暗黒の王がさし向けた魔物だった。そいつは美
しい娘に化けてその木っ端役人をだまし、そして町中におかしなお触れをだし、自身はその身から発す
る瘴気で国を内側から腐らせていたのだ。
タチカゼが一刀のもとに両断すれば美しい娘は醜いナイトメアという悪魔に正体を見せた。こいつは人
に悪い夢を見せて心を乗っ取る恐ろしい魔物なのだ。
ナイトメアが死ぬと大勢の人が悪い夢から覚めたように生気を取り戻しはじめた。しかしもはや悪い夢
の中で財力にものをいわせていた貴族たちは麻薬という本当に冷めない悪夢の中で長い間苦しむはめに
なったのだ。
タチカゼはそんな貴族たちを見て「なあ、娘、この世は夢幻か?それにしてはお前の見ていた夢は立ち
が悪かろうが。これではどちらが奴隷でどちらが貴族か分からぬな。だが俺は実のところ、胸が痛いお
まえのような美しい娘があんなものに手を出すなど。よいか。ナイトメアは死んではおらぬ、お前たち
の心にま
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