第二百五十一話 周防の戦その六
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「さあやるか」
「ここが暴れどころだね」
「千人は倒してやろう」
「遠慮は無用でやんすね」
「楽しくなりそうだよ」
煉獄に続いて大蛇、拳、煙、鞠が言ってだった。
から繰りがその独特の仗を手にだ、敵を見て言った。
「さあ来いわし等の一世一代の晴れ場だからな」
「うむ、御主達にも頼む」
彼等には兼続が応えた。
「共に暴れようぞ」
「それでは」
「これより」
皆応えてだ、そしてだった。
皆魔界衆に対して向かいだ、後詰に入るのだった。
信長は彼等に向かいだ、そのうえでだ。
兵を率い自身の傍にいる池田と森にだ、こう言った。
「逃げる速さもじゃ」
「あまり速過ぎずですな」
「それでいて敵に捕まらぬ様にですな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「つかず離れずじゃ」
「そしてですな」
「相手を誘き出す」
「そうするのですな」
「ここは」
「退いてもな」
それでもというのだ。
「退き方次第じゃ」
「殿、後詰の幸村殿達ですが」
蘭丸は報を聞いたうえで信長に告げた。
「見事にです」
「防いでおるな」
「はい」
こう答えるのだった。
「それも完璧に」
「それはよいことじゃ」
「立花殿の弓矢がです」
宗茂のそれの話もするのだった。
「一発も外れずです」
「敵を貫いておるか」
「まさに源為朝公の如く」
保元の乱で鬼神の如き活躍をした彼と比べても遜色ないというのだ。
「活躍されていてです」
「敵を寄せつけぬな」
「そして十勇士と飛騨者達も暴れ」
それで余計にというのだ。
「寄せつけておりませぬ」
「それはよいことじゃ」
「ではこのまま」
「退くぞ」
そうするというのだ。
「わかったな」
「さすれば」
「いい具合じゃ」
「実にですな」
「ではこのままじゃ」
「退き続け」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「魔界衆を然るべき場に持って行くぞ」
「その時こそ」
「うむ、完全にな」
退きつつもだ、信長は目は死んではいなかった。そのうえでの言葉だった。
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