第二百五十一話 周防の戦その五
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「よいな」
「では」
「まずは退く」
「その際は殿をですな」
「我等が」
「任せた」
その全てをと言う信長だった。
「わかったな」
「では上様」
蘭丸が言って来た。
「これより」
「うむ、御主達もな」
信長は頷いてだ、そしてだった。
先陣全体で戦をはじめた、彼はここで彼がいつも行っている鉄砲と弓矢、槍を使った相手を寄せ付けない戦を使わず。
盛んに攻めさせた、魔界衆の面々は信長のその采配を見て言った。
「我等を討たんとか」
「そうしてか」
「盛んに攻めて来るか」
「しかし無駄なことだ」
こう言うのだった、すぐに。
「数は我等の方が上よ」
「戦は数だ」
「その数で一気に押し潰してくれるわ」
「そしてその首を取ってやるわ」
「その通りよ、数で囲み」
老人も言う。
「そして一気にだ」
「織田信長を軍勢ごと討つ」
「そうしますな」
「そうじゃ、ここが絶好の機と知れ」
まさにというのだ。
「攻めるぞ」
「はい、わかりました」
「さすれば」
棟梁達も応えてだ、そしてだった。
魔界衆の軍勢は信長が率いる軍勢をその数を囲んでだった、一気に押し潰そうとかかった。だがその彼等を見てだった。
信長は確かな声でだ、こう言った。
「今じゃ」
「はい、退きますな」
「今ここで」
「そうしますな」
「その時が来た、では退くぞ」
信長はここまで言ってだ、すぐにだった。
馬の首を反対に向けてだった、そのうえで。
まず彼が退く動きを見せた、すると潮が引く様にだ。
先陣は皆退きだした、宗茂はそれを見て幸村と兼続に言った。
「では」
「はい、これよりです」
「我等の腕の見せどころですな」
二人も応えた。
「それがしはもう用意は出来ています」
「それがしもです」
見れば幸村は双槍、兼続は双刀を出していた。そして宗茂もまた。
弓を出しだ、誇らしげに言った。
「実はそれがしはです」
「弓でござるか」
「それに自信がおありですか」
「はい、これを使い」
そしてというのだ。
「後詰を引き受けましょう」
「では立花殿が中陣で」
幸村は宗茂に微笑んで花を譲った。そして自らはこう言った。
「それがしが右」
「ではそれがしが左ですな」
兼続も言った、こうしてだった。
それぞの受け持ちが決まりだ、十勇士が幸村に言って来た。
「では我等も」
「思う存分暴れてみせます」
「それではです」
「殿と共に」
「頼むぞ」
微笑みだ、幸村も彼等に応えた。そして飛騨者達もだ。
それぞれ武器を出して構えてだ、こう言うのだった。
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