第二百五十一話 周防の戦その二
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「それからじゃ、そして十勇士と飛騨者達にもじゃ」
「あの者達についても」
「戦うにしてもですな」
「今は抑えて」
「そしてですな」
「存分に戦う時を待つてとな」
その様にというのだ。
「伝えよ」
「はい、わかりました」
今度は蘭丸が応えた。
「ではすぐに」
「その様にな」
「いよいよですな」
また言った蘭丸だった。
「戦ですな」
「あの者達との最後の」
「はい、して上様」
蘭丸は信長にあらためて言った。
「その相手ですが」
「わしの策にかかるか、か」
「間違いなく、ですな」
「かからぬ筈がない」
信長は自信に満ちた笑みで言い切った。
「あの者達ならばな」
「上様がおられれば」
「あの者達はわしが憎い」
このことを熟知している言葉だった。
「それこそ他の何よりも誰よりもじゃ」
「ことごとく自分達の邪魔をしてきた上様を」
「憎いと思っておるのじゃ」
「それ故にですか」
「わしが先陣におればな」
「それをおかしいと思わず」
「わしがいなくなっても茶筅がおるが」
跡継ぎである信忠がというのだ。
「そのことも忘れてな」
「上様に遮二無二にですか」
「向かって来る、だからじゃ」
「ここは間違いなくですか」
「かかる」
信長はまた言い切った。
「わしの策にな」
「そして策にかかれば」
「釣る」
今度は一言だった。
「そうしてな」
「それからは手筈通りですな」
「そうして攻める、わかったな」
「はい、それでは」
蘭丸も頷く、そしてだった。
信長は軍勢をさらに前に進めさせた、それを見てだった。
魔界衆の本陣においてだ、老人は命じた。
「よいか、先陣も何もない」
「はい、全軍一斉にですな」
「織田信長に襲い掛かる」
「そうしますな」
「あの者にはこれまで幾度もやられた」
信長の読み通りだ、話す老人も周りの棟梁達も他の者達も憎悪にその目を燃えさせていた。そのうえでの言葉だった。
「だからじゃ」
「あの者を」
「ここで討ちましょう」
「そしてこれまでの恨みを晴らす」
「そうするのですな」
「これまで多くの者に邪魔をされてきたが」
老人は魔界衆のこれまでのことも話した。
「しかしじゃ」
「織田信長はその中でもです」
「特に我等の邪魔をしてきましたな」
「他の者達よりも遥かに」
「我等の邪魔をしています」
「その恨みをな」
まさにというのだ。
「ここで晴らすぞ」
「だからこそですな」
「全軍一丸となり向かい」
「そしてそのうえで」
「織田信長を討つ」
「そうしますな」
「あの者を討ってじゃ」
そしてともだ、老人は言った。
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