第二話 尋問
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美濃は身体に違和感を覚えて、ゆっくりと目醒めた。
その直後、自分が全く知らない場所で寝ていることに勘づいた。
「ここは...どこ?」
身体を起こそうとしたが、思い通りに動けない。
それもその筈で、両手は手首を頭の上で縄で縛られて固定されており、
両足も伸ばした状態で頑丈に固定されている。
美濃は自分の身に何が起こったのか理解出来ず、
慌てて瞳を周囲に巡らせた。
彼女は、木造の小さな部屋のベッドに寝かされていた。
ベッドは、敷き布団のみで、美濃自身の服装もさっきのままである。
そして、すぐそばには、黒い背広と黒いサングラスを身に着けた男の姿があった。
「きゃあああああああ!!」
結衣は絶叫した。
「お目醒めですね。元気のいいお嬢さん。しかし、ここで幾ら大声を出しても無駄ですよ。なにしろこの建物は、特殊な防音構造をしているので、外には一切の物音は漏れません」
男は上品な口調でそう言った。
声色からして、先程の男と同一人物であろうと思ったが、
良く聞いてみると、女性の声のようである。
改めてその人物の顔形、背格好を見つめると、
やはり、男ではなく、男装した女性らしい。
それでも、美濃は絶叫を続けた。
「お嬢さん、子供じゃないのだから、大人しくしてくれませんかね」
女はそう言うと、懐から拳銃を出して見せた。
それを見た美濃は、瞳を大きく開けて、声を止めた。
「あなたも気づいての通り、男性の服装をしていますが、私は女性です。某密売組織の一員です」
女はニヤリと微笑した。
美濃は、恐る恐る女に問いかけた。
「わ、私をどうするつもり.....?」
すると、女は戯けたように両手を広げた。
「なに、どうするつもりもありませんよ。僕の質問に正直に答えてくれたらね・・」
「質問?」
「ええ、簡単な質問です。先程、あなたは見てはならない所を見ていましたよね」
「・・・見てはならない・・・所・・・?」
「そうです。僕の質問は、あなたは、一体どこの組織から依頼されたのかということです」
「依頼・・・?なんのことか、私にはさっぱりで・・・?」
「いやいや、惚けても駄目ですよ。こんな遅い時間に、あの暗い公園に、
一般の人が通ることはまずありえません。通るとすれば、事情を知っている者としか考えられない。きっとあなたは、
関係の組織から高額の報酬で、密売情報を得るように依頼されてあの場所にいたのではないんですか?」
「そんな、私、ただ帰りが遅くなってしまっただけよ...」
「フン。見え透いてますよ」
「本当なんです。信じて下さい」
「正直に話して頂けば、あなたの組織よりも、もっと高額な報酬を出します。」
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