圏内事件 ー終幕ー
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のか……。 けど、ユーリさん達が駆けつけてくれなければ、きっと殺されていたでしょうし、グリムロックの罪を暴けなかったと思います。 だから、本当にありがとう」
顔を上げると今度は私をしっかりと見て、彼女は口を開いた。
「あの時、シィさんが問い詰めてくれなければ……私は指輪の事を気がつけなかったと思います。 それに毅然とした態度でグリムロックを問い詰めて……少しカッコ良かったです」
「……そんなこと、あるかな?」
照れ隠しで戯けてみせると真横から「自粛しろ」と厳しいツッコミが入る。 ヨルコさんはクスリと小さく笑みを浮かべるともう一度深々と一礼をして、シュミットらに続いて丘を降りて行く。
* *
四人を見送った後、グリムロックの独白を聞いて胸に燻っていた疑問をユーリへと訊ねてみた。
「……ねぇ、ユーリ」
「ん?」
「……もし、もしさ。 私のユーリの知らない一面を知ったらどう思うのかな?」
殊勝な態度に目を大きくして驚きをみせるもそれは一瞬の事で、直ぐに表情を改めると、なぜか呆れ顔をしながら口を開いた。
「年齢と同数の付き合いしてる俺らに知らない事ってあるのか……? 」
「いや、もしもの話だから、ねっ?」
彼はうーんと首を捻り悩む素振りをみせた。 が、今度は私の顔をまじまじと見つめて小さく笑いながら。
「それはそれでいいんじゃないか? 馬鹿ですぐに調子にのる、どうしようもない阿呆だけど咲良は咲良だから」
「……うー!」
キザっぽい台詞に思わず顔を赤くしていると笑われた。 すぐにからかわれたって解ったけど、久々に名前で呼ばれて嬉しかったのは確かだ。
キリト達は既に主街区へと向かったようだけど、私達は何だか動こうという気分にならず丘の上に腰を下ろして空を眺めていた。
穏やかに吹く夜風を心地いい。 真っ黒なキャンパス一面に星が散りばめられたような夜空が綺麗だ。 夜空を見上げていると上空を幾つもの光の線が横切った。
「おっ……流れ星!」
「綺麗だね〜」
横で無邪気な表情を浮かべ、空を見上げるユーリを眺めた後、私はそっと瞼を閉じ空を駆ける星へと祈った。
ーー例え、現実でも仮想でもいい。だから、彼との幸せな日々が続きますように……。
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