機動戦艦ナデシコ
1298話
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機にミロンガ改が1機。
ミロンガ改を使えばあれだけの戦力を相手にやり合える自信はあるが、それはあくまでもミロンガ改だけでだ。
ナデシコを守りながらというのは、とてもではないが出来ない。
しかも、向こうにはグラビティブラストを持っている大型艦が大量に存在している。
「ハルカさん、ディストーションフィールドの展開をお願いします!」
「待って! 今フィールドを発生させたら、ナデシコの真下の地面が沈んでしまうわ!」
イネスの口から出た悲鳴のような叫び。それは、ユートピアコロニーの真下にいる火星の生き残りが全滅してしまうという事。
だが、それをしなければナデシコは木星蜥蜴の集中攻撃により撃破される。
「ただちにフィールドを張りつつ上昇!」
「ごめん、無理。一度着地しちゃった以上、離陸にはちょっと時間が掛かるの」
ユリカの唯一の希望を摘み取るかのように、ハルカの口から漏れ出る言葉。
そこに追撃を掛けるようにルリの言葉が続く。
「敵艦、上方に回り込みつつあります。チューリップより、尚も敵増大中」
「フィールドを張るか、敵の攻撃をこのまま受けるか」
「提督、艦長には厳しすぎる決断ですな。ここは……」
「待ってくれ、ユリカ! 地下には火星の人達が!」
そんな声が周囲に響く。
どうする? 俺ならそれを何とかする事が出来る。だが、いいのか? ここで俺の力を使ってしまえば……いや、だがこのまま火星の生き残りを殺すというのも、ましてやナデシコが沈むのもごめんだ。
なら、俺がやるべき事……やりたい事……
一瞬の迷いの後、すぐに決断する。
そう、ここで火星の生き残りを見殺しにするのも、ナデシコが沈むのを黙って見ているのも出来ない。
もしそんな真似をすれば、俺はレモン達に対して顔向けが出来なくなるだろう。
そんな事は絶対にごめんだ。
つまり、俺がやるべき事は……
「艦長!」
ブリッジの中に響く俺の声。
その声は、騒ぎになっていたブリッジの中を一瞬にして沈黙させる。
「俺に任せろ」
「え? その、アクセルさん!?」
「少なくても敵の第一波くらいはどうにかしてやる。……俺の力を使ってな」
そう告げ、俺は影のゲートを展開する。
「ちょっ、アクセル! 足、足下!」
「アクセル、大丈夫なの!? ちょっと!」
ハルカとエリナの言葉を聞きながら、俺は影のゲートへと身体を沈めるのだった。
大魔王と呼ばれた俺の、本当の力を振るう為に。
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