機動戦艦ナデシコ
1298話
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たのは、数秒前と寸分違わぬ光景だった。
それこそ実際には違うんだろうが、こうして傍から見る限りでは無傷にしか見えない木星蜥蜴の戦艦の数々。
「そんなっ! グラビティブラストに耐えた!?」
「敵もディストーションフィールドを持っているのよ。それは火星に突入する時の戦いでも分かっていた筈でしょう? 向こうにも相応の防御力はあるわ。お互い一撃必殺とはいかないわね」
まるでイネスの言葉に呼応するかのように、木星蜥蜴の戦力は次々と増えていく。
「どうなっている!? 何であんなにチューリップの中に入っている!?」
その光景を見た俺の口から、自然と声が漏れ出る。
当然だろう。何故か映像モニタにはチューリップから出てくる大型戦艦の姿が映し出されていたのだから。
そう、明らかにチューリップに入っているとは思えない程の数の大型戦艦が、だ。
その数は途切れる事なく、まさに底なしと呼ぶに相応しい規模で。
これは……何だ? もしかして俺達は勘違いをしていたのか? 俺は、チューリップというのはバッタやジョロといった小型機を、そしてカトンボのような小型戦艦を運ぶための移送ポッドや輸送艦の類だと思っていた。
だからこそ何とかしてチューリップを手に入れようとしていたのだが……これはまるで俺の思っていたものと違う。
明らかにチューリップの許容量を超えるだけの戦艦がチューリップから出て来ているのだ。
これを疑問に思わない者は、このブリッジにはいなかった。
ただ1人……恐らくこの展開を予想していただろう人物を除いて。
「入ってるんじゃない……出てくるのよ。途切れる事なく。あの沢山の戦艦はきっとどこか、別の宇宙から送り込まれてくるの」
その言葉を聞いた瞬間、俺はチューリップというものの本質を理解した。俺だからこそ……システムXNや、フォールドといった転移装置を戦闘や移動の手段として使いこなすシャドウミラーの俺だからこそ真っ先に気が付けたのだろう。即ち……
「チューリップというのは、転移装置だってのか?」
「驚いたわね。まさかこんな短時間でそれに気が付くなんて。……貴方があのミロンガ改とかいう機体のパイロットよね?」
「ああ」
「敵、尚も増大。チューリップから援軍が次々に出て来ます」
俺がイネスの言葉に頷くのと同時に、ルリからの報告が出る。
ちっ、俺達をここで潰す気か? その理由は俺達か、それとも火星の生き残りであるイネス達か……その理由はどうであれ、何だってここまで執拗に戦力を集めてくる? ……集める? そう、集めるだ。
幾ら木星蜥蜴が無人機で構成されていても、その活動能力には限界がある筈。なのに、何故ここまで俺達を執拗に滅ぼそうとしてくる?
俺達が火星にやってきた時の戦いもそうだった。こ
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