三十九話:正体
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かけさせられたのか」
「それとエリオを放置したのが失敗です。切嗣さん」
「まさか、あの状態で這って進んでいたのか?」
自分が隊長陣が来るまでの間、何もしないように話し続けさせられていたことに気づき渋い顔をすると共に、通路に血で何かが這って回った後があることに今更ながらに気づき驚きの声を上げる切嗣。
エリオは足が使えない状態でありながら進み隊長達との距離を縮めていたのである。彼の行動も逐一確認しておくべきだったかと思うが既に目的は果たされたと言っても過言ではない。これだけ時間を稼げれば十分、焦る必要は何もない。
「だが、僕の目的は果たされた。こちらに人質がある以上はここで僕を捕まえるのは不可能だよ。それに、ギンガ・ナカジマ。彼女は現状三人の戦闘機人と戦っているはずだ。そちらの援護に向かうことを優先するべきだと僕は思うよ?」
ギンガの名前が出たことでスバルとティアナの表情が青白くなる。ギンガは単独で行動しているはずであり、三対一といった不利な状況に陥っているのは確実。しかも今から向かったとしても救援に間に合わない可能性が高い。ギンガが殺されてしまいかねない、そう最悪の予測が頭をよぎるが何故か隊長達は表情を崩すことが無い。切嗣の方もそれに気づいたのか疑うような視線をなのはとフェイトに向ける。
「ギンガの方にはもう助っ人が向かっています。あなたも良く知る人がね」
「なに?」
戸惑う切嗣に対してなのはは勝気に笑いかけるのだった。
揃って並ぶように下がり息を整える三人の戦闘機人、ノーヴェとウェンディ、そしてチンク。三対一で襲い掛かればいかに同じ戦闘機人であるギンガであろうとも為すすべなく倒されるはずであった。だが、どういうわけか三人は未だにギンガを捕獲することが出来ていない。
「くそっ! なんだよアイツ、急に現れやがって!」
「顔を隠しているくせに無駄に強いっス……」
「姉の見立てではあれは相当の手練れだな。体術のエキスパートと言ったところか」
その理由はギンガの下に現れた正体不明の救援であった。救援の数は一人、まだ三対二でこちらの方が有利であった。しかし、三対一と三対二ではその差は大きい。さらに言えばその救援の力は一般局員のものとは隔絶したものであり三対二であっても相手と渡り合う技量の持ち主であった。
「改めて聞きますけど……味方でいいんですよね?」
その人物はどういうわけかギンガに対してもその素性を明かしていない。だが、自分を手助けしていることだけは分かるためにギンガも共に戦うことを受け入れているのだ。と言っても怪しいものは怪しいために尋ねずにはいられないのだが。そんな様子に何を思ったのか彼は振り向き短く答える。
「……味方だよ」
仮面の男が隠した
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