第2章:埋もれし過去の産物
第41話「散り行く雪」
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.転移魔法を使う余裕はない。)」
大気中の魔力を治癒に回すのでさえ、体とリンカーコアが痛む。
...だけど、止まる訳にはいかない。
緋雪に託された想いを、完遂するためにも...。
「(........本当...どうして、こうなったんだろうな....。)」
雪が降っており、振り返ればその雪に紛れて椿たちが見えなくなっていた。
―――...今思えば、僕は緋雪を殺した場所から逃げたかったのかもしれない。
「(...世の中、こんなはずじゃない事ばかりだな....。)」
ふと、頬を伝う涙を拭い、痛む体を考慮しつつ、スピードを上げて行った。
「....なぁ、シャル。」
〈なんでしょうか?〉
無意識に持ってきていたシャルに、僕は声を掛ける。
「....お前は、これからどうするつもりなんだ?」
〈.........。〉
シャルは主であるシュネー...緋雪を喪った。
それは僕にとって幼馴染を喪った事でもあるけど....今は置いておこう。
これからどうしていくつもりなのか、僕は知りたかった。
...シュネーの、もう一つの形見でもあるからな...。
〈...私は、生涯お嬢様以外に仕えるつもりはありません。〉
「...だよな。お前は、僕がシュネーを...あいつを護ってほしいという想いを込めて作ったんだ。...そう言うと思っていたよ。」
〈...ですが。〉
予想はしていた答えを聞き、僕はそう言ったが、まだ続きがあるようだ。
〈私はお嬢様の想いと共に、マイスター...貴方に託されました。〉
「えっ....?」
〈主を変えるつもりはありません....が、力は貸しましょう。それが、お嬢様の願いなのですから。〉
「......。」
シャルはそう言って、再び黙り込んだ。
...シュネーの願い...か。断る訳にもいかないな。
「....頼りにさせてもらうぞ。シャル。」
〈...御意に。マイスター、ムート。...いえ、優輝。〉
態々今の名前に言い換えるシャルに、少し苦笑いする。
「.....行くか。」
〈〈....はい。〉〉
僕の声にリヒトとシャルが反応する。
それを聞き、僕はさらにスピードを上げた。
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