暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第2章:埋もれし過去の産物
第41話「散り行く雪」
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.!今度こそ、助けるって思っていたのに...!こんなの...こんなのってありかよ....!!」

「.........。」

  思わず近くにあった木を殴り倒す。

「ぐっ...!?」

  手から血が出る。...もう、身体強化の時間は切れている。
  本来なら、立っているだけでもきついぐらい体はボロボロだ。

  ...でも、今はそんなの関係なかった。

「...ねぇ、ムート。もう一度言うよ?....私を、殺して。」

「っ.....。」

  ...できる訳がなかった。
  僕はシュネーを助けたかった。でも、それは叶わずに死んでしまった。
  二度生まれ変わり、もう一度チャンスが回ってきた。...なのに、また、無理なんて...!

「そん、なの....!」

「っ、私は!生物兵器として死にたくない!...ムートの幼馴染として...志導優輝(お兄ちゃん)の妹として死にたい!...だから、殺してよ....!」

  絞り出すように否定しようとして、涙ながらに訴えられる。

「そんな事....!」

「....そっか、ムートはムートであって、志導優輝(お兄ちゃん)でもあるんだったね。...死なせたくない気持ちは、二人分だったね....。」

「っ.....。」

  僕がムートとして、シュネーはシュネーとしてだったら、僕は覚悟を決めて殺していたのだろう。
  ...だけど、今は僕は優輝であり、シュネーは緋雪でもある。
  ...どちらも二人分だからこそ、殺したくない気持ちも多い。

「...シュネー・グラナートロートは、既に死んだ身。...だから、志導緋雪(お兄ちゃんの妹)として言うよ。....今まで幸せだった。」

「っ....!」

  今にも崩れそうな、そんな儚い笑みでそう言うシュネー(緋雪)

「たった九年間。凄く短い期間だったけど、お兄ちゃんと一緒にいられて、本当に幸せだったよ。」

「緋雪.....。」

「ずっと頼りになるお兄ちゃんだった。ずっと大切な家族だった。....だからこそ、そんなお兄ちゃんの手で、私を今まで続いてきた苦しみから解放してほしい。」

  そっと、振るえているリヒトを握る左手を両手で包む緋雪。
  ...その間にも、段々と体が灰になっていく。

「っ.....でも....!」

シュネー()の最期の願いくらい聞いてよムートっ!!!」

  それでも諦められない。そう言おうとした僕の言葉を、シュネーはそう遮った。
  ...心が締め付けられた。どうしても、殺さなきゃいけない現実に。

「...もう、苦しみたくないの....お願い...ムート....!」

「っ...ぅぅ....!」

 
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