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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第19話 二人の初春
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転し始める。
リセットをするとまた道幅を拡がりながら倒れている木山へと走り寄る。
そして姿勢を低くするとそれぞれ道路を叩いている。

これで良いですか?
サソリさん

初春はサソリからのとんでもない作戦を思い出していた。

耳打ちをしているサソリは、初春に対して確認するように幾つかの質問をした。
「初春、お前の一人称って私か?」
「は、はい?」
「何か口癖はあるか?」
「特になかった気がします」
「分かった......あとは適当だな」
「何をするんですか?」
「木山を混乱させる。変化の術でお前そっくりに姿を変えるから。上手く合わせろ」
「ええええー!!そ、そんな事無理ですよ!」
「良いからやれ!その時にやる事は......」

サソリは木山が研究者であることを逆手に取り、変化の術を使い、初春そっくりに姿を変えた。
研究者は、動作よりも思考に重点がいく。

『サソリは攻撃しないが初春を攻撃する』
という宣言にサソリも初春に変化して一瞬の思考の隙を作り出し、引っ掛ける。

こっちが本物かもしれない
いや、あっちの方が本物かもしれない

その対立する情報を与えてやれば、研究者は勝手に見極めようと間違い探しを始める。
そして、こっちが本物だと考えて攻撃すれば、別の初春が声を出して問いの確認させる。

本当に合っているだろうか?

と更に検算、確認動作をさせる。
これで研究者の木山の行動をかなり抑制するか事が可能だ。

サソリが初春に出した指示は
1.相方が捕まったら「そっちで良いですか?」と質問する
2.適当に指を動かす、引っ張るなど大きな動きを入れる
3.相方が近寄ってきたら、回転してリセットをする
4.隙が出来たら、道路を叩く
5.気づいた点があったら、短い言葉を言う。聴いたら繰り返しで同じ言葉を言うこと。

単純ではあるが、自然に行動をしなければならないため初春は手順を指折りで確認していく。

それにしても......

初春は、自分そっくりになったサソリを見てみるが
あまりに自然に堂々と振る舞うサソリに対して苦笑いを出した。
普段のクールなサソリとは打って変わり天真爛漫な自分が隣で走っている。

何で普通に動けるんですか?
満面の笑みで私に成りきってます......

意外に演技が上手いサソリを感心したように見た。
そして初春としてのクォリティーを上げるために時々、躓いて転んでいます。

そんな露骨にしなくても
私、そんなにドジっ子じゃないですよ

サソリが初春に対するイメージが垣間見えた気がした。

もう自分を客観視することがかなり恥ずかしいが作戦なので仕方ない。
涙が溢れていくが関係ない。

木山は立ち上がり、左を走る初春に
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