マザーズ・ロザリオ-Fly me to the sky-
第百三話
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んな顔をしているのか気になるところであり、里香は座っている位置をズラしてベストポジションを模索していく。その間にも歌は終わりに近づいていき、今度こそ人々は少女から立ち去っていく。
「……ん?」
人ごみが退いていく事もあり、ようやく里香にもその歌手の少女の姿が見えてきた。カチューシャまであるメイド服に身を包んだ、グレーに近い髪色をした少女。確かに珪子の言っていた通りに、自分たちに近い年齢だったが――それよりも里香には、彼女に見覚えがあった。
毎朝鏡を見る時に自分に感じる違和感と同じような、そんな既視感――
「……レイン!?」
ガタッと椅子から立ち上がった里香の脳内では、最近知り合ったレプラコーンの少女の姿があった。二刀流を操っていた彼女の顔と、今の今まで歌っていた少女の顔は、言われてみればそっくりであり――髪の色は真紅ではないが、むしろそれがあったからこそ、同じく髪を染めている里香が気づくことが出来たのか。
「リ、リズ……?」
……そして。笑顔とともに街角を歩いている人々にチラシを配っていた少女も、同様に立ち上がった里香を見て硬直していた。
「いやー……こんなところで会っちゃうなんて……ねぇ? でも、手伝ってくれてありがとね?」
ストリートライブの第二弾やその後のチラシ配りなどを、里香たちも手伝って終えた後、レインと同じ髪をした少女もコテージに座っていた。彼女の前には、先程珪子が食べていたのと同じ、巨大なストロベリーパフェの姿があった。しかして食べ慣れているようで、珪子のように苦戦せずテキパキと食べていく。
「うーん。意外と髪型とか髪の色とか、分からないものなんだけど……里香も髪の色染めてたから分かったのね」
「そうね。あなたは……」
髪型や色は変えることが出来たとしても、現実とゲームの世界で似たような顔をしているということは。一部の例外を除けば、彼女も里香たちと同じ存在である、ということで。
「……うん。私の名前は枳殻虹架。みんなと同じ、SAO生還者だよ」
「やっぱり……」
目を伏せながらレイン――虹架はそう語る。SAOではフィールドにあまり出ることもなかったプレイヤーであり、今では支援学校ではなく深夜の学校に行っていること。どうして深夜の学校に行っているか、という理由については――
「私、歌手になりたくて。まあ見ての通り、あんまり人は集まらないんだけど……」
「そんなことないですよ!」
珪子からの声援に小さく笑ってお礼を言いながらも、虹架は三人に真剣な口調で話しかけた。
「でも……秘密にして欲しいの。私がSAO生還者だってこと」
「その……分かってるだろうし、もしかしたら知ってたと思うけど。あたしたちってSAO生還者の
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