マザーズ・ロザリオ-Fly me to the sky-
第百三話
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のだろう。
「うう、ピナがあそこで動かなければ……」
「流石は翔希さんですね……あ、もしかして珪子がこの前、店の前で売り子してたのって」
「はい……」
ピナが頭から肩に移動する一瞬。そこで片翼だけに重心が寄っていることに気づいたか、結晶の光が反射したか。見つかった方法はともかくとして。シリカは店の前で客引きをやらされることとなり、ピナはちょっといい餌を貰っていた。それからピナも今までの餌だとそっぽを向くようになり、シリカの財布にも多少のダメージを負わせていた。
「自業自得じゃない……」
「む。でもですね里香さん。今翔希さんに言った言葉は、そのまま里香さんへの言葉でもあるんですよ?」
子供に説明するように指を立てた珪子の言葉に、答えることが出来ずに里香は言葉をつぐむ。相手の何が好きなのか、それを相手に伝えているのか――それは確かに、自分たちには足りていないところなのかもしれない、と。
「そもそもあたしたちに構ってる暇がある、あんたたちはどうなのよ」
「相手がいたらこんなことしてません」
「私も……今のところは、ちょっと」
忠告には一理あるとはいえ、好き勝手言われたままなのはしゃくに障る――と、里香はジト目で二人を睨みつけた。……ものの、どちらからも目を逸らされてしまう。
「はいはい、この話はお終いお終い。ところで学校からちょっと離れるんだけど、美味しいパフェがあるお店があったんだけど……カロリー抑え目な竜使いちゃんは遠慮しとく?」
「いえ、行きましょう」
里香はパンパンと手を叩いて無理やり話を終わらせると、今度はこちらの携帯端末を珪子に見せつけた。パフェ、と聞いた時は迷うような表情を見せていたが、実物を見せたら抗うことを忘れたようで。
「ひよりはどうする?」
「私も行きたいです。とっても美味しそう」
ひよりも快諾されたことで、そうと決まれば話は早い。三人は座っていた椅子から立ち上がり、里香は飲んでいた缶コーヒーが完全に入ってないことを確認すると、小気味よいかけ声とともに近くのゴミ箱へと投擲した。
「アイツみたいに上手いこといかないわね……」
「あ……」
カランカランと音をたてて廊下を転がる缶を、里香が今度はしっかりと確実にゴミ箱に片づけていると、ひよりが何かに気づいたように声をあげた。
「ひより?」
「ごめんなさい。教室に忘れ物してたので、待っていてもらいませんか?」
そう言ってひよりはきびすを返して里香たちとは反対を向き、自分たちが今までいた教室へ向かおうと走っていく――かと思えば、その瞬間にひよりは小さくジャンプして飛翔したかと思えば、当然すぐさま落下した上に着地をミスって廊下にダイブしていた。
「ひ
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