マザーズ・ロザリオ-Fly me to the sky-
第百三話
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った。
「……あれ?」
『……ショウキさん?』
ひよりが疑問の声を呈したとともに、画面の中のシリカが動きだす。シリカの声にようやくショウキも反応し、止まっていた筈の時間が動きだした。
『いきなり……何だ』
「あ、髪の毛弄ってます」
「ひよりさんの言う通りでしたね……」
「うっさい!」
困ったように髪の毛をクシャクシャと弄りながら、ショウキは一見平静を装ってシリカに聞き返していた。……その癖すらも今は会話のネタになっていることを、もちろん知る由はないが。
『えへへ、いきなり気になっちゃって。それで、どうなんですか?』
『……言う気はない』
カメラの位置の関係で見ることは出来ないが、今のシリカの表情は、恐らく興味津々そうな様相を呈しているだろう。とはいえその質問には、ほとんどノータイムで否定の言葉が紡がれた。今までは少し、心中で慌てていたようであったショウキだが、完全に平静を取り戻した。
『……リズさんにも言ったことないですよね、多分それ』
『っ』
ただしシリカの追求の一言に、ショウキは小さく息を呑む。口に出して意志を示した方がいい、というのはよくシリカが口を酸っぱくして言っていることであり、ショウキもそれは自覚はしているようで。
『リズさんに言えるようにならなくちゃいけないんですから、まあまあ、練習だと思って!』
『くっ……』
シリカの説得に苦々しげに顔を歪め、ショウキは奥歯を噛みしめるかの如く抵抗するが、観念して辺りをキョロキョロと見回していた。それから目を瞑って集中し、どうやらリズの気配を探っているようだ。
「……結構可愛いんですね、翔希さん」
「あんたそれ、今度目の前で言ってやりなさい」
珍しい光景を見たひよりが感想を述べている間に、ショウキはどうやら、リズが辺りにいないことを確認し終わったらしい。そこで一瞬だけ画面が歪むが、どうやらピナがシリカの頭の上から、肩に飛び移ったらしい。
『それは――……ん?』
インタビュアーの真似事をしていた画面内のシリカも、画面外から見ていた三人も、それぞれショウキが言わんとする言葉を固唾を飲んで待った。そしてショウキが言葉を紡がんとした時、何かが気になったかのように、シリカへと近づいていく。
『どうしました?』
『いや、ピナの翼の中に何か……結晶みたいなのが……』
『あっ』
……映像はここで途切れていた。
「……見つかってんじゃないの!」
「仕方ないじゃないですか!」
要するにピナの翼の羽毛の中に偽装していた、撮影用の《記録結晶》が見つかったらしく。ピナが頭の上から肩に移動した時に、片翼に仕込まれていたのを、ショウキが見逃さなかった
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