マザーズ・ロザリオ-Fly me to the sky-
第百三話
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アルヴヘイム・オンラインにおける、トップアイドル《七色・アルシャービン》の、ALO集合宣言から一週間ほど。年を越して慌ただしくなった現実世界とともに、VR世界でも波乱が巻き起こっていた。
七色・アルシャービン――ALOでは《セブン》と名乗った彼女により、新たなギルド《シャムロック》が発足。トップアイドルかつVR世界の研究者――という彼女のギルドには様々なプレイヤーが集まり、各種族の領や攻略ギルドを追い越し、一躍最大勢力となって躍り出た。
その理由はいくつか会った。もちろんセブン本人の人気ももちろんのことだったが、その発表のタイミングでもあった。年末ライブという最高に盛り上がるタイミング、というのもそうだが、ちょうど未解放だった浮遊城《アインクラッド》の新たな層が解放されたためだ。
一緒にあのアインクラッドを攻略しよう――という謳い文句は、中小の攻略ギルドを丸ごと《シャムロック》に受け入れるに至り。彼らはギルドメンバーである自身を《クラスタ》と呼び、今のALOでは最も勢いのある集団と言えるだろう。
……もちろん勢いだけではなく。新たに解放されたアインクラッド第二十層は、瞬く間にセブンが指揮する《シャムロック》に攻略されてしまった。そのニュースは《MMOトゥディ》でも取り上げられ、実績と勢いと話題性を伴った彼らは、さらに戦力を拡大させていた――
「あー終わったー」
SAO支援者学校。そこの生徒には、授業以外にカウンセリングが設けられており、定期的なカウンセラーとの問答が必須だった。多感な少年・少女時代を、デスゲームという歪んだ環境で過ごした生徒たちを、出来うる限りサポートする――と言えば聞こえはいいが。
要するに、二年間を殺人ゲームで過ごしてきたメンバーを監視してる、ってことでしょうに――と。今まさにカウンセリングを終え、部屋の近くにあった椅子に座ったリズ……篠崎里香は心中で吐き捨てた。
とはいえ、あのデスゲームのことをまだ引きずって、投薬に頼っている生徒がいることも確かで。里香としては直接相対することはなかったが、あの《笑う棺桶》のような連中もいた以上、仕方のない処置であることは分かっていたが。……問題はあの《死銃》事件のように、真に危険人物はこの学校には来ていない、ということだが。
「あ、里香さーん!」
近くにあった自販機で缶コーヒー買っていると、よく聞いている可愛い声が里香の耳に届く。缶の蓋を空けながら振り向くと、そこには予想通りの人物――綾野珪子と。
「里香さん、こんにちは」
「あら、ひより。珪子と一緒だったの?」
予想外だった人物だった、ルクスこと柏坂ひよりも、その柔らかい微笑みで頷いていた。とりあえず立ち話も何だ、ということで、揃って椅子に座り込む。三人
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