暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 8
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たのに。
 「ありがとうございます。もう大丈夫です」
 アーレストの手をやんわり押し返し、一歩退く。
 同情で手段を手放すなんて、シャムロックらしくない。目的を思い出すべきだ。
 自分がしっかりしてないと、ハウィスは護れない。
 「ミートリッテさん」
 「はい」
 「人は、一人きりでは生きていけません」
 「……はい」
 「ですが。心であれ物であれ、誰かと寄り添う事に対価を求めるのは間違いです。それは相手への信頼とは違う。挟んだものへの依存だ」
 「……すみません。意味が解らないです」
 信頼と依存? 何の話だ?
 またしても真剣な顔になった神父の言葉に、眉を顰める。
 「貴女は愛されている。応えようとする気持ちも見受けられます。しかし、本当の意味では受け止め切れていない」
 彼は何が言いたいのか。
 不審感で顔を歪めるミートリッテに、アーレストは至上の微笑みで
 「……指導が必要かも知れませんね。良いでしょう。……ミートリッテさん」
 「……はい?」
 唐突に。
 どデカイ爆弾を投げ付けてきた。

 「貴女を、アリア信仰に入信させます」


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