4部分:第四章
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たし」
政之はまだ笑っている。そのよこしまな笑顔で言うのだった。
「これから宜しくな」
「ええ」
明日香もまだ不本意ながら彼の言葉に頷いた。
「これからね。浮気したら祟るから」
「ああ、それだけはないな」
政之はそれに関しては安心するように言うのだった。
「俺は付き合う相手は一人って決めてるからな」
「嘘でしょ」
「いや、本当さ」
何か白々しさが感じられる調子で答えてきた。
「何なら確かめてみるかい?」
「ゆっくりとね」
明日香は何故かここではそれを深く追求しないのであった。そうしてこの言葉を出すのだった。
「それは確かめさせてもらうわ」
「じゃあこれからもゆっくりと」
また明日香の方を見てきた。今度は顔を向けてきている。
「宜しくな」
「ええ」
一組の奇妙なカップルのはじまりであった。何はともあれ明日香は政之と付き合うことになった。幽霊とはいえ女の子だ。どんな相手でも彼氏がいても不思議ではないのだった。
「けれどね」
その夜明日香は政之にまた言っていた。今度は二人はキッチンにいる。
「その料理の仕方はないでしょ」
「何がだよ」
政之が料理をしていた。料理をしながら明日香に問うていた。
「幽霊は別に何も食べないんだろ。だったらいいじゃないか」
「それでもよ。何それ」
丁度鶏肉を焼いている。チキンステーキだ。
「その胡椒の量は」
見れば胡椒を浴びせるように肉にかけている。それで肉が真っ黒になっていた。明日香はそれを見て政之に言っているのだ。
「こうじゃなきゃ美味くないんだよ」
「駄目よ、そんなの」
明日香は政之に抗議する。
「それじゃあお肉の味が」
「食わないからいいだろ」
そんな話をしながら料理を作って見る二人であった。何だかんだでもうカップルになっているのであった。明日香もやはり女の子であった。
幽霊でも女の子 完
2007・12・12
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