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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第227話 絶剣と剣聖
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か思えないから。
「キリトくんは……本気だったの?」
開口一番、アスナが訊いたのはそれだった。油断をしていた、等は言い訳だろう。
『強い方が勝つのではなく、勝った方が強い』どんな世界でもそれが真理だ。言い訳を持ち込みたくはないが、それでもアスナの中でもキリトの事を考えれば……どうしても聞いてしまう。
「うう〜〜〜ん……」
リズは、アスナの言葉を訊いて、腕組みをすると、難しい顔で唸りつつ、答えた。
「こう言っちゃなんだけどさ、やっぱ あの次元の戦闘になると、あたし程度じゃ本気かそうじゃないか、なんて、判んないんだよね……」
「ですね。あの時、『リュウキさんが、解説してくれたらな〜』って言ってましたもん」
「こら、それはあんたでしょ」
「あたっ!」
ぴんっ! と横槍をしてきたシリカに指で一撃入れた後に、リズは続けた。
「言えるのは、キリトは二刀じゃなかった事、かな? それを考えたら、やっぱ全力って事にはならないと思う。……リュウキも、『二刀流はキリトの専売特許』って言ってるしね。……ああ、それに、さ」
リズは、そこで一旦言葉を切ると、暖炉の炎を移して煌く紅玉の瞳を、眠りキリトに向けた。……その後はこの部屋の天井……恐らく、今この世界にはいないリュウキの事も思い描いているだろう。
「あたし、思うんだ。たぶんもう、
正常
(
ノーマル
)
なゲームの中じゃ、キリトが、……リュウキも、本当の本気で戦うことはないんじゃないかな、ってさ。逆に言えば、あの2人が全力で、本気になるとすれば、ゲームがゲームじゃ無くなった時。バーチャルワールドが、リアルワールドになった時。―――ぜったいに負けられない戦いになった時、だけ……。だから、そこで眠りこけてるキリトもそうだし、リュウキも、本気で戦わなきゃならないようなシーンは、もう来ない方が良いんだよ。だって、ただでさえ、厄介な巻き込まれ体質なんだからさ」
「「…………」」
アスナとレイナは、リズの言葉を訊いて、静かに頷いた。
2人の本気。異常とも呼べるまでの力。
人間の反射神経、反射速度の限界を超えた反応。……猛る炎、烈火の如く赤い。そして何処か深淵にも通じる深みを持つ瞳。……世の全てを射抜くまでに研ぎ澄まされた眼光。
「そう、だね」
「うん。……きっと、そう。だよ――。みんなといつまでも楽しく……、が一番だもん…」
そっと頷き、言葉を出す2人。
レイナもそれは特に思う。目の前で別れを……別離を味わったからこそ、強く思えるのだ。
そして、ここにはいない少女。過去、起こしてしまった悲しい事故のトラウマに苛まれていた少女、シノンを助けた時だってそう。一歩、一歩間違えていたら、もう会えなくなっていたかもしれないんだから。
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