第20話 上流と下々の社交の場
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の目を僅かばかり集めた。
子供がこのような席に着く事は初めてでも異例でもないが、今この空間には士郎達以外で最年少でも二十代後半の客層だからだ。
お客の目を引いたと少し前に、ウェイターが士郎達に気付いて迅速かつ軽やかに近づいて来た。
「衛宮様ですね。御席まで、御案内いたします」
「はい」
ウェイターの誘導で席まで案内される士郎。
席に着くまでの間、ウェイターの確認を聞いていたその他の客らが半分ほどは聞いた事が無いと思い考え、残り半分は目を剥いた。
「衛宮?聞いた事が無いな・・・」
「しかしあの歳でこの場にいるのだ。どこかで有名なのでは?」
「あら?小雪と準以外の3人も美味しそう?」
――――一方で。
「あの子供がEMIYA?」
「名だけは聞いた事はありましたが、素顔を見たのは初めてですな」
「もう少しお年を召しているのかと思っていましたが、意外とお若い」
「今日の肴に小雪と準以外の3人のどれかテイクアウトできないかしら?」
刀匠EMIYAの名を知ってるかどうかの違いが判る反応だ。
しかし値踏みの目線で見られている冬馬達は表面上は兎も角、内心では少しだけ居心地が悪そうだ。
翻って、京極は人間観察を楽しみの一つとしている事だけあって、立場が逆に回っても気にした様子は皆無だ。
そして士郎はこのような場など何度も経験して来ている百戦錬磨なので、高々その辺の富豪の値踏みなどどこ吹く風だ。
自分達のために用意された席に着くと、次々に到着する料理の品々に対してこれまで通り些細なミスなど無く、余裕をもってこの場の流儀に合わせた食事を進めていく5人。
その後は、他の客との社交の場だ。
決して内心を悟らせないようににこやかに、そして弱点を掴まれないようにする社会見学。
それが今回士郎の最大の狙いだった。
だがそれでも完全な思惑を果たせたわけでは無かった。
「・・・・・・・・・・・・」
士郎が見つめる先には、1人分の椅子が設けられている一つのテーブルがあった。
そこに本来座る主は、急な予定変更によりこの場での食事や士郎達以外の富裕層たちとの顔合わせもキャンセルになったのだ。
そこに座る筈だった者に会わせる事こそ、冬馬達の将来に必ずプラスになるだろうと言うのが士郎の考えだったのだが、残念ながらご破算になってしまった。
その者は次期と言う冠が付いているが、いずれ必ず世界の大物中の大物になる少年だった。
今現在九鬼財閥に一歩届いていない複数の大企業を取り込んだ企業連合の盟主の家の次男だ。
「ままならないモノだな」
結局士郎の思惑上、最高成果を上げられずにこの場を終えるのだった。
−Inte
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