圏内事件 ー対決ー
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様よ。 さて、愛瀬の途中邪魔しちゃ悪いが、こっちも退屈してきてるんでね。 早速だが準備はいいか」
左手を鞘へと当て、右手を刀の柄へと置く。 いつでも〈抜刀〉を放てる状態にするとそれぞれの獲物を構えた狩人二人へと視線を向ける。
「It’sーーー」
左手を空高く掲げ、
「ーーーShow time!」
腕が振り下ろされ、開戦の合図となり、 三人がほぼ同時に駆け出す。 自分が二人との距離を縮めるために直進したのに対し、ザザとジョニーは挟撃するために左右に分かれる。
「シュッーー!」
「シッ!!」
二人同時にソードスキルを発動させ、肉迫してくる。相手の戦略は、予想通りの挟撃。 普通ならば、左右からほぼ同時に繰り出される攻撃を防ぐ事は不可能。 そう、普通ならば。
「セヤァァッーー!」
抜刀術 範囲技 〈波紋〉
気合い一閃。 体を捻り、全方位への抜刀が放たれる。 夜を闇に銀色の軌跡が円を描き、挟撃を完全に弾き返す。ギリギリ武器で防御されるが、強烈なノックバックが彼らに反撃を許さない。 彼らより早く技後硬直を抜け出すと、納刀し、次へと備える。
「シ、ネェ!!」
エストック使いのザザより早くノックバックから解放された毒ナイト使いジョニーは、次の一撃を撃たせまいと猛接近を仕掛ける。 ソードスキルの推進力を助けに、一瞬で懐へと入ると取ったと言わんばかりにニヤリと笑う。 しかしーー
「甘いっ!」
「グッ……ハッ?!」
鞘の強烈な殴打がジョニーの痩躯にめり込み、体勢をくの字に曲げる。 すかさず、蹴りを叩き込み、地面へと転がすと思考を背後から奇襲を仕掛けてくるザザの対処へと切り替える。
「フッ……!」
「ッ!!?」
背後に鞘で突きを繰り出し、ザザの腹部に強烈な一撃を見舞う。 予期せぬ一撃に発動中だったザザのソードスキルがファンブルし、技後硬直に襲われる。 大きな隙を見せたザザを袈裟懸けに斬りつけ、そのHPにダメージを与える。 先の防御で減っていたHPは、大幅に減少し、半分を切り、注意域へと到達する。
元より中層プレイヤーよりかは遥かに多い体力を一撃で大幅に削るユーリに脅威を感じたのか、追撃は行わず距離を置く。
しかし、二人を退けたと思った矢先、彼奴が動いた。
「ハァッ!」
「クッ……!」
大上段から放たれた〈友切包丁〉の一刀を〈神威〉で受け止める。 両者の力は拮抗し、鍔迫り合い、互いの獲物が火花を散らす。 しかし、その均衡を崩したのは、Pohだった。 ユーリの胴体へと蹴りを放ち、ーー彼から見ればーー小さな体躯が吹き飛ぶ。
ユーリもわざと蹴られる方向へと飛び退き、大きく距離を取ると即座に体勢を立て直す。
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