第二話 次の戦争は始まる
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国の最初の開戦が、大敗北で終わった事に驚愕していた。貴重な軍艦と武装商船の八割が損失したなど、とんでもない被害だ。しかも、今回の遠征で貴族もかなりの数が参加しているので、貴族の被害も尋常ではなかった。
「は、はい。敵は恐ろしく早い空飛ぶ剣の攻撃に、我が方の翼龍は壊滅。その後は、敵の空飛ぶ剣の魔法で我が艦隊は蹂躙されました。そして遠くで轟音が響きますと、我が艦隊の船が次々と吹き飛ばされていくのです。私はあんな恐ろしい魔法は見た事がありません」
遠征軍の生き残りからの詳細の報告に誰もが、常識(帝国基準)から外れている内容に半信半疑であったが、艦隊の被害と生き残る証言が現在説明している彼と同じように言っているので、事実であると理解してしまった。これに、元老院議員であるカーゼル侯爵は、皇帝のモルトに進言する。
「大失態でありましたな陛下。今回の遠征で海軍の機能は失ったも同然です。いくら、未開の大陸の国家が帝国を名乗っているだけで、戦を仕掛けるべきではありませんでしたな」
これは主戦派に近い考えのモルトと、そしてモルトを煽って考えなしの戦を仕掛けた主戦派に対する嫌味でもあった。このカーゼルの言葉に、皇帝のモルトは微動だにしていないが、逆に主戦派は何とも居心地が悪い表情になる。
「ならば和議を……」
「馬鹿をいうな!こんな大失態のまま講和など出来るか!属国の兵士を根こそぎ集めて戦いを挑み、敵を殲滅するまでやめるべきではない!!」
「こんな状況で、奴らが素直にいう事を聞く者か!!」
「考えて物を言え!この戦バカが!」
「何だと!!」
ザワザワと主戦派と、それに属さない貴族と元老院達が議論を交わしている時であった。そこに一人の騎士が慌てた様子で薄闇の間に入ってきたのだ。
「会議中だぞ!」
「も、申し訳ございません。それより外に来てください!何やら可笑しな物が空に浮かび上がっています!!」
騎士の報告に、モルトも他の貴族や元老院も外に向かう。そして彼らが見たのは、上空に映し出された映像であった。そこには、アカツキ帝国の軍の最高指揮官であると同時に、国の最高責任者でもある前田健太郎元帥であった。
漆黒の黒い髪と漆黒の黒い変わった服を身に纏った30代の青年だが、そこは鋭い眼光に、その鋭い眼光に見合ったカリスマを思わせる覇気のある青年が映し出されて、その映像を見て誰もが見入ってしまった。
『我が名は、前田健太郎である。アカツキ帝国軍元帥であり、アカツキ帝国の最高責任者である!』
それは、ファルマート大陸に君臨していた帝国に大敗北を与えた王の出現であった。いや、正確には映像に移っているだけであるが……。
『この映像を見ている全ての者に告げる。我がアカツキ帝国は、宣戦布告も無しに我が国
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