第二話 次の戦争は始まる
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帝国の交渉決裂から一週間後。帝国艦隊がアビス大陸に向けて進軍したとの報告を受けて、健太郎はアカツキ海軍第三艦隊に、追撃するように命令を出す。
第三艦隊の編成は以下の通り。赤城型空母二隻、伊勢型戦艦二隻、天龍型巡洋艦六隻 不知火型駆逐艦十六隻の編成である。この艦隊は、特軍で使用されているイージス艦、原子力空母、原子力潜水艦等の最新兵器で固められていない。地球世界でいえば、既に退役をしても可笑しくない艦艇で構成されている。艦艇性能も、特軍と比べたらかなりスケールダウンしているが、これは異世界の軍事事情により、編成されたのである。
特に第二次大戦時にその役目を終えた戦艦が復活したのも、イージス艦の性能をフルに発揮する必要性がないからだ。二十一世紀の戦争は、まさに電子機器やミサイルを扱うハイテク戦争である。ミサイルも、そもそも誕生した理由も、艦砲よりも長い射程で敵の重要拠点を正確に攻撃するという目的から生まれたものだ。そのようなミサイルは、二十一世紀の地球では音速を超えており、イージス艦といった最新のハイテク兵器も、これに対処するために設計された兵器だ。
だが、そういった近代兵器で武装されていない異世界の戦争は、昔ながらの戦列を組んだ槍や剣で武装した歩兵が主流であり、海軍も大砲も積んでいない木造型のガレー艦である。そのため、金がかかるハイテク兵器で武装するより、第二次大戦時や冷戦初期に開発された兵器を使用した方が、効率的でコストパフォーマンスにも優れると判断したのである。そのため、第二次大戦時と冷戦初期の武器を参考にして古い兵器をあえて再配備しているのだ。
この艦隊も、第二次大戦時の艦艇を参考に作られているが、ある程度は後世技術を扱い第二次大戦時の艦艇よりも信頼性も性能も向上はしている。そして空母に搭載されている艦載機も、ジェット機ではなく、レシプロ機だけが配備されている。現代の地球世界の軍事関係者は、このような骨董品を再配備してどうすると笑うかも知れないが、しかし、これも異世界の状況に応じて再配備しているものであるため、アカツキ帝国の海軍兵は、古いかも知れないが、それでもこの世界では絶対の力を持っていると信じている。
「閣下。偵察機からの入電です。『我、帝国の艦隊を発見セリ』です。攻撃命令を出しますか?」
「そうだな。前田元帥殿より、攻撃命令は出ている。知らないとはいえ、我々の国境付近まで来ているのだ。土足で入り込んだ礼儀知らずには出て行ってもらおうか」
「は!」
旗艦『赤城』に搭乗している第三艦隊司令官である坂本 明少将は、副官の言葉を聞いて艦載機の出撃命令を出す。
空母赤城、加賀より戦闘機 烈風が28機 攻撃機 流星が40機が飛び立つのだった。
こうしてアカツキ帝国と帝国の初めての戦いは始まったのだ。
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