9部分:第九章
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「この前の工業高校への殴り込みだってな」
「爆弾が落ちる中にいる奴が悪い」
健一の持論である。
「そんな馬鹿のことは知るか」
「で、それで変な奴じゃなかったのね」
日和は兄が持論を述べ終えたと見て彰人を横目で見つつ問うた。
「彼は」
「その通りだ。では小僧」
「はい」
「今から御前も袴に着替えろ」
「袴ですか」
「あと御前の親父さんとお袋さんも呼べ」
あくまで強引に話を進めるのだった。
「いいな、結婚するんだからな」
「結婚ですか」
「そうだ。一つ入っておく」
明らかに彼が言う前に前以って断りとしての言葉だった。
「貴様はまだ十八になってないな」
「ええ、まあ」
「それは気にするな」
「ちょっと、気にするなって」
「婚姻届はその時になってからでいい」
こう言い切るのだった。
「貴様が十八になったその時にな」
「わかりました。それじゃあ」
「高校生だとかそんなのはどうでもいい」
健一はさらに言うのだった。
「昔は十五やそこいらで結婚だったからな」
「はあ」
「わかったな日和」
「もう何て言っていいかわからないわ」
何処までも強引な兄に呆れ果てた言葉であった。
「全く。結婚までその日で決めるなんて」
「俺は決断と実行の人間だ」
問題はそこではないのだがそんなことは全く気にも留めていなかった。
「だからだ。いい」
「はいはい、もうわかったわよ」
いい加減呆れ過ぎて今は言う気力がなくなったのだった。
「結婚式よね、それで」
「そうだ。もうすぐ用意ができる」
腕を組み仁王立ちで宣言する彼の後ろではもう組員の人達が慌しく動き回っている。我儘な組長に対して実に献身的に仕えている。
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