一章
18
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化障。年をほとんどとらなくなる一種の症例。これだけをきくと良いものに思えるが、その反面寿命が通常の半分以下になるという原因不明の病。遺伝性で言い方を変えれば生まれつきのものであり治療法はない
……と云われる病の診断書。もちろんのこと偽造書類。その病気事態もあるかどうか、シルク本人は知らない。全てゼロの仕組んだことだ
「……ほら、長く生きれないから、早く叶えたいと思ったんですよ。あっという間に死んでしまうぼくでも、高い空から世界を見るって夢は……大きすぎるけど叶えたいと思って。そのためにきました」
入国、可
胸に堂々と入国証をつけて、こそこそと人混みを避けて歩く。そして人の目のないところで、大きく息を吐き出す
シルクは、この演技に命を懸けていたのだ。審査が通らなければこの街から突き落とす、とどこかの誰かに真面目な顔で言われていたのだ。
「随分とだれてんじゃねぇか」
だれかさんとは、もちろんのことこの人である
「…………ねぇ、ゼロ。どうやって入国審査通ったの?」
「あぁ、これか。欲しいものは奪い取れっていう盗賊の精神にならってみた」
ちなみに殺して奪った、のではない
奪われた本人も恐らく気づいていないのではないだろうか
「……ぼくのもそうしてくれたらよかったのに」
「お前は試験のときに提出するんだよ。俺はそもそも街中なんか歩けねぇし、時間をおいてすり替えていくつもりだ。そうでもねぇと流石に騒がれるからな」
ゼロは戦闘だけでなくスリまでプロ。おまけに試験の内容がわかるくらいに頭も良し。シルクはため息をついた。犯罪者でなければ、ゼロほどの天才はいなかっただろうにと
「これからどうするの?」
「まずは試験の手続きをしてこい。専用の宿舎があるはずだから、お前はそこで準備してろ。俺は軍の動きを見てくる」
「それ危ないんじゃない?」
「リスクはある。試験のこともあって警備は厳重になってるはずだからな。でも、気になるんだよ」
「なにが?」
ゼロは夜空を見上げた
「……平和すぎ。俺がここまで軍のやつらに放置されるなんて早々ねぇからな。さてさて、どんな理由があるのやら」
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