あの軍師 〜小さいおじさんシリーズ4
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やめろ」
何だかんだで面倒見いいよなこのひと。
「案の定、陳父子の裏切りで呂布軍の内情筒抜けになっちゃて、おまけに讒言食らって最終的には呂布程度の上司(笑)にシカト食らってるし、最後に律儀に一緒に斬られてやった意味が分かりませんねぇ」
「よせって、もうよせって!!」
「―――あの殉死、必要?」
「っ血も涙もないのか貴様は―――!!」
泣き声は嗚咽と化し、四畳半を満たした。やばいな、新聞の集金来るの今日だった気がするわ。
「な、なぁ、俺ちょっと宥めてくるわ」
何だかんだで面倒見のいい端正が腰を浮かす。
「おぉすまん…頼む。余が行くわけにもいかないからな…で貴様はもう黙れ」
「お断りします」
「黙らないの!?この空気で!?」
非道な割には意外と空気を読む豪勢が、白頭巾のあまりのアレさに後じさる。
「ところで…貴方は彼に、今一度自分に仕えないか、とチャンスを与えた。…敗軍の将は一族郎党皆殺しが基本だろうに、本人以外はお咎めなしって破格の待遇…ですねぇ」
「そ、それがどうしたもう黙れよ頼むから」
「貴方、未だに惜しい人材とか思っているみたいだからお伺いしますよ、乱世の奸雄。あの場を生き延びたとして」
―――彼、あの動乱の三国時代を乗り切れたと思います……?
ぴたり、と空気が凪いだ。
「後世の人々は色々美化しているようだが、我が主も、貴方がたも、聖人君主ではない」
「貴様もな」
「あの時代に必要だったのは高潔さなどではない…生きる意志。石に齧りついてでも、血だまりの泥水を啜ってでも生き抜く強固な意志です」
……あ、流した。
「キレイに生きることばかりに拘泥し、生き抜く意志を持たないものはそもそも乱世にしゃしゃり出るべきではなかった。山奥に草庵でも結んで詩でも吟じていれば良かったのです!!」
そう言い放ち、白頭巾が羽扇を振り下げる。意外にも、いくばくかの苛立ちを感じているようだ。
「そう、その猫ちぐらがお似合いだ!!」
自分で云ってから、白頭巾は何かに気が付いたように羽扇を取り落とし、がくりと膝をついた。
「し、しまった…猫ちぐらから追い出そうとしたのに『お似合い』などという結論に辿り着くとは!!」
あいつ…本当に猫ちぐら占領されたのが業腹だっただけなのか。猫か。
「お、おいやばい、そいつ今すぐ黙らせろ!なんかぷるぷる震え始めたぞ!!」
猫ちぐらの中から叫び声が聞こえてきた。ついさっき『彼』を宥めに行った端正の声だ。白頭巾は露骨に眉をしかめて羽扇を拾い上げて口元にあてる。
「なんと、吐くおつもりですか。人の縄張りで最悪ですなそのひと」
「うるせぇよ貴様のせいだろうが!…それより奴をあまり怒らせるな…」
豪勢が急にそわそわしだした。…気のせいだろうか、ダカッダカッと妙に重い蹄の
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