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俺の四畳半が最近安らげない件
あの軍師 〜小さいおじさんシリーズ4
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頃の余は一介のちんぴら武将。どうあっても董卓に捕まるわけにはいかなかった」
豪勢は猫ちぐらの方向を、遠い目で眺める。
「――結果、優秀な部下が余から離れていった。…後悔など、しようがない。少しでも情に流され判断を誤れば、余は命を落としていた。そういう、時代だった…」
さっきから茶菓子がまるで進んでいない。これも、この男には珍しい。
 彼らが俺の四畳半に出没するようになってから、俺は昔漫画で軽くさらっただけだった三国志を、小説で読んでいた。だから知っている。猫ちぐらに籠って泣いているあの男は、豪勢にとって特別な人間のはずだ。

「貴方の感傷に付き合いたいわけではありません」
白頭巾が場に流れかけた柔らかな空気をバッサリぶった斬った。
「貴方が、あの男に何をしたから猫ちぐらから出てこないのか、と伺っているのです」
「ぐっ……」
「卿、まじか」
そういうの苦手そうな端正が、身じろぎした拍子に、がたりと脇息(キャラメルの空き箱)を転がす。
「それを追及しちゃうか、この空気で!?」
白頭巾はまったく顔色を変えることなく、口元だけで笑った。
「貴方でもいいです。知っているのでしょう?」
「いやいやいや無理無理、あり得ないわこの状況でアレを説明しろとか」
「いやぁ、知りたいものですなぁ。当時小童だった私が知りえない、当時の話を…」
羽扇で顔の半分を覆いながらにんまり笑う、白頭巾。

――あぁ、もう。こいつ、またか……

「一国の丞相ともあろうお方が、一体何をやらかしたのやら。も、もしや大恩を受けた一家を、口封じの為に子供に至るまで皆殺しとか、そんな非道行為を!?も、も、もしや、もしや!!」
「こ、こいつ知ってたな!!!」
端正がガラスの猪口を叩きつけて立ち上がった。…あぁ、また百均で買ってこなければ。
「ぐぬぅぅぅ…貴様、今日という今日は…!!」
「なにを根拠にそのように仰います。私は、もしや、と云ったはずですよ」
「丞相、もう張遼とか呼び出そう!俺も甘寧呼び出すわ」
「……やめておけ、あの召喚獣呼び出されて返り討ちだ」
張遼と甘寧を返り討ちとか…本当に、白頭巾の嫁が女な意味が分からない。端正は苦虫を噛潰したような顔でどっかと腰をおろした。
「なにか皆さんの気分を害することを云ってますか。申し訳ない。なにしろ何も知らない小童だったもので」
まだ云うか、こいつ。もう羽扇の影でめっちゃ笑ってるじゃねぇか。
「ただまぁ…貴方の後に仕えたのがあんなエッジの利いたオモシロ武将とか…なんでそこに全賭けしちゃうかなぁ…ってもう…」
羽扇の裏からくすくす笑う声が聞こえる。…猫ちぐらの様子が変だ。全体的にぷるぷる震えているし、忍び泣きだったのが普通に男泣きになっているし。豪勢がオロオロしながら猫ちぐらを伺う。
「お、おいもう
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