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リリなのinボクらの太陽サーガ
ダークハウンド
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唯一意思を強く持っていたからなのか、ともかくあいつはアンデッド化を通り越して変異体になった。異変に気付いたロキとスカルフェイスは興味深そうに一旦その場を離れた直後、“A-7”は自力で試験管から飛び出ると、その場にいたグールを襲って喰らい始めた。やがてグールを平らげると、今度は同族の入った試験管を襲い……喰らった。永遠にも感じられた停滞で終焉を待ち望んでいた同族は、“A-7”の手によって死を与えられ、どこか満足した顔で逝った」

「死ぬ事が救い……それほどまで生きる事に絶望していたのか。……じゃあ、もしかしてビーティーも?」

「さあな。どっちかっつぅと俺はやる事やった後なら満足して死ねると思うぜ。まぁともあれロキとスカルフェイスの手で“A-7”は捕獲され、俺以外生き残りがいなくなった塵だめで掃除し損ねた最後の“塵”として残り続けた俺はその後色々あって地球に渡り、マッドナー博士に俺の義体を作ってもらったんだよ」

「いやいや、その色々に何があったのさ!? そこかなり重要なポイントだし、そもそもどういう経緯でその博士にサイボーグ化してもらうまでに至ったんだ!?」

「ン〜話すの面倒になったから続きはまた今度な」

「面倒って……すごく気になるところで区切らないでよ……」

「言っとくが人の過去掘り返すとなると、話す当人にとっちゃ色んな意味で疲れるんだよ。聞く方は思わず忘れちまうけどな」

「あ……ごめん、つい気が回らなかった」

「気になったらずかずかと他人の事を詮索しちゃう私としては耳が痛いね……」

これからが重要って所で話を終えられたせいで、少々不完全燃焼な気分になるジャンゴとなのはだったが、ビーティーの言い分も一理あるのでとりあえず納得する事にした。彼女の生まれた境遇を知った今、彼女がいつも変な風に笑っているのは精神の均衡を保つためなのではないか。そう思った二人は彼女の危うい精神を受け入れ、支えようと考えた。そうしてこの日、彼らは憐みの気持ちを抱いたまま就寝するのだった。

一方、屋外でおてんこはどこか遠くを見つめていた。これまでの話から、この次元世界がかつて世紀末世界の人間が犯した過ちと同じ道を辿ってしまうのではないかと危惧していたのだが、マキナやマテリアルズを始めとした世界の破滅を止めようとする強い意思を持つ存在を見て、まだ間に合う、まだ希望は残っていると確信していた。

「(しかし……やはり気になる。イモータルはここで一体何を企んでいる? マキナ達が潜入任務から戻ってくれば、連中の目的についてそれなりの情報を得られるはず。この世界を銀河意思の思惑から守るためにも、早く帰ってきてほしいものだ)」


うぉ〜は〜♪
ピッピッピッピッピピピピピピピピ……ピピピピッピッピッピ。


新暦67年9月1
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