2部分:第二章
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俺が家に殴り込みをかけてやる」
「それを実行に移したのは三十回だったかしら」
妹はうんざりとした顔で健一に述べた。
「その度に相手様のお家潰したわよね」
「家は潰れるものだ」
この言い草である。
「それで皆全治二ヶ月以上よね」
「それで済んで有り難いと思え」
「そして今回だって」
その工業高校殴り込み事件である。
「前はヤクザ屋さんの事務所粉々にしたじゃない」
「元々シマ荒らそうとしてきやがっていたしな」
テキ屋がヤクザの元になっているのだ。なお彼の家は地元ではかなり有名なその筋である。彼はそこの若き組長というのである。
「何時かやろうと思ってはいたがな」
「で、あっちの三下が私と擦れ違って肩が触れただけで殴り込みかけたの」
「それが一番赦せなかったんだよ」
やはりそれであった。
「本来ならあれの三分の一で済ませてやったんだ」
「それが完全破壊になったのね」
「当たり前だ。あいつ等はそれだけのことをしやがったんだ」
「あのね、お兄ちゃん」
ここまで話を聞いて呆れた顔で言う日和だった。
「限度って知ってる?」
「そんなのは俺の辞書にはねえ。見ろ」
何処からかその辞書を出してきた。そして突き出してきたページには。限度という部分が奇麗に真っ黒に塗り潰されていたのであった。
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