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Dies irae ~Unlimited desire~
プロローグ

[2]次話
いつからだっただろうか。
正義の味方になりたいと本気で考えていた。
憧れの切嗣と同じように、みんなを守りたいと考えていた。
それだけを考えて聖杯戦争に参加した。
犠牲者を増やさないため、悲しみを背負うも者を増やさないため。
それなのに・・・
俺は今何をしているんだ。
士郎は痛みに耐えながら顔を上げる。
目の前には、黄金に輝く甲冑を身に着けている英雄王の姿とその下で満身創痍の状態で倒れているセイバーの姿があった。

「負けたのか・・・?」

思わず出た嘆きに、隣にいた遠坂凛が首を振りながら答えた。

「勝ったとか負けたじゃないわ、士郎。最初から勝負にすらなっていなかったの。アイツにとっては、遊びの一環だったのかもしれない。」

「そんな・・・!」

「動いちゃダメ!あんた自分の状況みなさいよ!」

見ずとも今どのような状態なのか、士郎が一番わかっていた。
腹部からの出血は止まらず、右肩は半分以上が抉られており体半分の感覚が無かった。
それでも立ち止まるわけにはいかなかった。
ここで逃げることはほかでもない士郎自身が許すことができなかったし、なによりセイバーとの約束にも反することだった思っているからだ。

「俺はまだ・・・戦える!」

「ほぉ・・・まだ立ち上がるか雑種。」

「言ってろ。俺はまだお前を殺すことを諦めていない。」

「ふん、それを実現できるほどの実力者なのか・・・あるいはただの大バカ者か。どちらにせよ、これで終わりだ。」

ギルガメッシュの背後に無数の光の円が浮かび上がる。
その中からは多種多様の武器が姿を現していた。
かつてギルガメッシュが集めた、すべての宝具の元祖ともいえるそれらは士郎を襲い始めた。

「終わりだ、雑種!」

「俺はまだ・・・!」

『死ねない、というのか?』

「あぁ、俺はまだ死ねない!」

『やり直したい意思があると?』

「・・・これ以上の犠牲を出さないように!」

『ふふふ・・・おめでとう。君は無事私の試験に合格したよ。さぁ、力を授けよう。どうか見せてくれ。君のすべてを。』

「なにっ!俺の王の財宝(ゲートオブ・バビロン)が閉じていくだと・・・?何をした雑種!」

「うおおおお!」

「士郎!だめ!」

『さぁ、今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう!』

士郎の意識はそこで途絶えた。
彼の新たな戦いが始まろうとしていた。

[2]次話


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